ソニー、「分社化の推進」で何が変わるのか 不採算事業の売却・撤退が今後のカギに
「分社化することで、本社に頼ることなく、自立して経営するようになる。(経営基盤が)より強くなることを意識している」。
ソニーの平井一夫社長は2月25日、東洋経済などのインタビューに応え、2月18日の経営方針説明会で発表した「分社化」の中身について説明した。18日には、2015年度~2017年度にかけて営業利益5000億円以上、株主資本利益率(ROE)10%以上とする目標に加え、すべての事業を分社化する方針を打ち出していた。
「分社化で競争力を高めたい」
平井社長は「分社化は以前から積極的に実施している。ソニーの売り上げの約7割は、実は分社化した会社が占めている」と前置きした上で、その狙いを改めてこう強調した。
「目的は経営の自立を高めて、競争力を高めること。機動的に動ける権限を与えるとともに、結果への責任を明確化することにある」(平井社長)。さらに、事業のトップを従来の事業部長から経営者に位置づけを変えることで、「経営者を育てていくことが、もう一つの狙いだ」と説明した。
ソニーはすでに2014年7月、不振のテレビ事業の分社化に踏み切った。10期連続で赤字が続いたテレビも、今期ようやく黒字化が見えつつある。今後は2015年10月をメドに、音響機器などAV機器事業を分社化。その後、デジタルカメラや半導体、電池といった残る事業も、順次分社化していく方針だ。本社はグループ全体の戦略構築や新規事業の創出、また研究開発などを重点的に担うことになる。
「分社化するのはいい方向。本社の事業部は本社からうるさく言われるが、分社化されると任されるようになる」と話すのは、あるソニー幹部OBだ。
ソニー経営陣の人材という観点からも、分社化を評価する。「今のソニーには残念ながら、かつての盛田昭夫さんのようなリーダーシップをとれる人材はいない。会社の規模から言っても、社長が全部に目を配るのは無理だ。だからこそ一つ一つ分社化して、分野ごとに精通した経営者に任せるのが合理的だ」(同OB)。
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