フレーミング 「自分の経済学」で幸福を切りとる タイラー・コーエン著/久保恵美子訳
インターネットに詳しい人は、本書タイトルから、相手を激高させることを目的に発信される掲示板の書き込みやネットワーク上でのけんかがテーマと、誤解するかもしれない。気鋭の経済学者が論じるのは「自分で作る認知の組み合わせ」のこと。シャーロック・ホームズも、グレン・グールドも、アダム・スミスも、ウォーレン・バフェットも、その達人だという。
人はそれぞれにバイアスがあるからこそ、自分にとって価値ある情報を選べる。基準として何を取るかで判断は大きく変わるので、そのバイアスを持って情報の小さなピースを上手に集め、「自分の世界」を作る。そうすれば、複雑極まりない世の中も楽しく生きていける、と説く。
しばしば引用されるのが、自分の関心のある分野で情報を体系化しようとする、自閉症のよき側面。その認知面での強みを取り入れた過ごし方こそ、情報洪水の現代社会での上手な生き方と伝授してくれる。
日経BP社 2310円
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