兵庫「おねだり知事」なぜそこまで勘違いできたか 雇われに過ぎないのに…首長による私物化は他にも

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そもそも知事のような首長は、あくまで「雇われ社長」に過ぎない。オーナー企業として筆頭株主のような権限を持つわけではなく、納税している住民一人ひとりが養っている存在だということを忘れてはならない。

過去の事例

とはいえ、これまでも「首長による私物化」は、たびたび話題になっていた。例えば2019年には、千葉県市川市で、市長らの公用車として、「テスラ」の電気自動車を導入した。気候変動対策を理由にしていたが、リース代金が高額だったこともあり、市内外からの批判にさらされ、結局リース契約は解除となった。また、市長室内に総工費約360万円のシャワー室を設置したことも問題視され、任期満了後に再選を果たせなかった。

市川市の件は「税金の使途として適切なのか」といった文脈だったが、「自費であっても業務として適切なのか」が問われるケースもある。シャワー室問題が議論されていた当時、大阪府池田市では、市長室に家庭用サウナが持ち込まれた。自費で設置されたものではあったが、執務エリアを私物化している不適切利用だと問題視された。あわせてパワハラ疑惑なども浮上し、百条委員会を経た後に、市長は辞職。出直し選挙に挑むも、最下位で落選した。

市川市の場合は元衆院議員、池田市は元市議、そして今回の兵庫県知事は元官僚と、当選までの経歴は異なるものの、その不祥事には通底するものを感じさせる。思惑は本人のみぞ知るだろうが、どこかに「選挙で選ばれたのだから、少しは勝手にさせてもらっていいのでは」という、おごりがあったのではないだろうか。

時代によっても、受け止め方は変わるだろう。失われた30年を経て、冷え切った経済状況の中では、維新の会が掲げるような「身を切る改革」が一定程度求められている。政治家たるもの清貧であるべきだ、という価値観が、それなりに定着する昨今では、少しでも特権意識が透けてしまうと、嫌悪感を示したくなるのも当然だ。

次ページ問題点のひとつは「にじみ出る『上から目線』」
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