中国は台湾から攻める--台湾企業との提携で成長市場・中国への進出リスクを軽減
東日本大震災以降、台湾への関心が高まりつつある。
一つは、総額180億円以上の多額の義援金を台湾が集めたこと。台湾は親日だという意識はあったものの、まさに行動でその気持ちを示してくれたことに、日本人は感謝と驚きを持った。
ビジネス面でも、その傾向はある。大震災で工場などが被害を受け、サプライチェーンが停止。海外拠点の生産に支障を来したことは、記憶に新しい。そのため、基幹部品などを海外に移したい企業がまず台湾に関心を持っているようだ。事実、すでにパナソニックやキヤノン、日立製作所、エルピーダメモリといった企業が、台湾への生産移転・工場新設へ動き出している。
では、なぜ台湾なのか。日本企業にとって現在、そしてこれからも、海外での主戦場は中国を中心とする新興市場であることは間違いない。対中投資も増加傾向にある。
とはいえ、成長に伴うひずみと、共産党一党独裁という政治体制から生じる問題も顕在化。中国進出では、上のような三つのリスクが日増しに肥大化している。政治・社会的問題に絡むリスクも強く影響することがしばしばだ。
一方で、中国など海外へ進出する余裕がないのも日本企業の現実だろう。日本企業の大半はこの20年間、血のにじむようなリストラや合理化を繰り返してきた。人も資本も極限にまでスリム化した日本企業に、さらなる事業展開を行う余力は少ない。
とはいえ、天井を知らない円高をはじめ、先行きの見えない日本の経済環境を少しでも打開するには、海外市場への進出しかない。そこで、貴重な資本と人材を有効に生かすためには「アライアンス」(提携)という選択肢が浮かんでくる。他国企業の力を借りながら成長への近道を行くことも一つの戦略だろう。