中国は台湾から攻める--台湾企業との提携で成長市場・中国への進出リスクを軽減

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では、そのアライアンス先はどこがベストか。現実的には、中国に近く、民主主義で経済体制が似ている韓国と台湾が有力候補になる。さらに、前述した中国のリスクをできるだけ回避できるすべを持った所となると、相対的に台湾が有利だろう。

台湾とは1952年、当時の中華民国との国交回復以降、経済的に深い結び付きがある。また日本語を話す人が多く、意思疎通もしやすい。

中国市場で日台韓の企業を見ると、競合関係にも補完関係にもある。ただ、みずほ総合研究所の研究では、日台間の競合度は台湾・韓国間でのそれより高くないという結果が出ている。理由の一つとしては、「台湾企業の生産ネットワークに資本財や中間財の供給などを通じて自らを組み込んでいる日本企業は他国と比べて多い」(みずほ総合研究所中国室の伊藤信悟室長)ためだ。

特に、中国への浸透度では、台湾以上の所はない。人口2300万の台湾は内需が小さく、中国へ進出せざるをえなかった事情もあったが、早くから中国ビジネスを手掛けた分、生産・流通などインフラ面は他国よりも確実に構築している。中国人とは北京語という共通語があり、社会習慣など中国になじみやすいという文化的な利点もある。

実際に、そんな台湾企業のメリットを生かし、彼らと合弁で中国に進出した日本企業も増えてきた。自社で直接中国に進出するよりも、台湾と合弁を組んで進出したケースのほうが現地での生存率が高いという研究もある。日中双方を知る台湾という存在が、中国ビジネスの潤滑油として機能していることは明らかだ。

馬英九政権の経済政策は、成長し続ける中国をテコに台湾経済の拡大を図るもの。その中心政策の一つが「6大新興産業」であり、昨年発効した「両岸経済協力枠組み協定」(ECFA)でもある。前者の内容を見ると、中国の国家発展戦略と似た分野が多く、大規模な投資も予定されている。

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