メリットが多い?外国人「合宿免許に急増」のなぜ 外国籍の運転免許保有者数は10年で25%も増加
「私のほうは日本人のほうがずっと多い学校でした」
兵庫もベトナム語での試験が受けられること、以前に住んでいたことから選んだという。「入校日からいきなり運転でしたが、親切に教えてくれたので安心できました」と話すハンさん、困ったのはルールの多さだ。
「日本は標識もルールもベトナムよりずっとたくさんあって、ややこしいですね」
ベトナムの右側通行から日本の左側通行に慣れることも必要だ。そのあたりを体得するには慣れと経験を積み重ねていくしかないのだろうが、指導する教官の中には厳しい人もけっこういたようだ。
やってみて、と言うだけで詳しく教えてくれない。教官が助手席から突然の急ブレーキ、教官によって言うことが違う……なんて話でハンさんとランさんが盛り上がるが、このあたりは僕たち日本人も教習所でさんざん経験したことだろう。
確かにきつい教官はいた。でも、口やかましく言われたからこそ事故を起こさずにすんでいるのだと感じている人だって多いはずだ。
運転知識や技術に加えて、心も教える
「日本の自動車学校は、運転知識や技術に加えて、心も教えるんです」(金坂さん)
たんにクルマの操作法を学ぶ場ではない。日本の運転マナーやルールをしっかり身につけてもらうことがなにより大切なのだ。
しつこいほどの安全確認、ゆずりあいの精神、ルールの徹底的な学習……こうしたことを教習所で叩き込まれた人たちから構成される日本の道路は、諸外国に比べるときわめて安全で運転しやすい。
日本に住む外国人が増えるにつれ、ルールやマナーを守らないと槍玉に挙げられることがずいぶん多くなった。たしかにこの国はやたらと決まりごとが多く、それが生きづらさにつながっているという面は日本人だって感じる。
とはいえ、日本はルールを重んじることで秩序を守ってきた国なのである。なら、新しい住民である外国人にもやっぱりそのあたりを考えてもらいたいし、交通ルールはしっかり守ってもらいたい。無免許運転や飲酒運転で摘発される外国人もいるが、そういうことにならないための教習所であり、厳しい指導なのだ。
「事故を起こさないため、不幸な人を出さないためのルールなんです。外国人にもそこを学んでほしい」(金坂さん)
ジップラスは多民族化が著しい日本で、運転免許という面から包摂を進めていく企業といえるのかもしれない。
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