VWにとって、中国は国別の販売台数が最大の基幹市場だ。このまま市場シェアを失い続ければ、経営の屋台骨が揺らぎかねない。
そこで同社は、合弁パートナーである上汽集団の技術や人材を活用すると同時に、中国における独自の研究開発能力の強化を急いでいる。その中核を担うのが、2023年5月、安徽省合肥市に全額出資で設立した研究開発子会社フォルクスワーゲン・チャイナ・テクノロジー(VCTC)だ。
VCTCは今、中国の新興EVメーカーの小鵬汽車(シャオペン)と共同で2車種のEVの開発を進めている。これらのEVは、同じく安徽省にある生産子会社の「VW安徽」で組み立て、VWブランドで中国市場に投入する。
(訳注:VWは2023年7月に小鵬汽車と資本提携し、約5%を出資する株主になった。VW安徽は、もともと国有メーカーの江淮汽車と対等出資の合弁会社だったが、後にVWが出資比率を75%に引き上げ子会社化した)
2023年4月には、VWは小鵬汽車との協業範囲をさらに拡大し、自動車用の「E/E(電気/電子)アーキテクチャー」の共同開発に合意した。2026年以降、VWが中国で生産するすべてのEVに搭載していく計画だ。
失地回復へ、なりふり構わず
EVだけではない。VWは後手に回っていたPHVの開発でも、先行する中国勢を一気に追い上げようと画策している。
中国市場では、PHVは(中国政府の優遇政策により)自動車取得税の減免措置が受けられるうえ、エンジン車よりも(ガソリン代が少なくてすむため)ランニングコストが安い。また、EVに比べて車両価格が安く、電池切れの心配も小さい。
こうしたメリットが消費者に評価され、中国市場では2023年以降、PHVの販売の伸び率がEVを上回り続けている。
VWはエンジン車からEVへ一足飛びの転換を目指していたため、PHV技術のリソースが足りない。そこで同社は、なりふり構わず上汽集団など中国メーカーの協力を求める戦略にシフトした。
中国自動車市場の競争環境が大きく変化する中、VWのようなグローバルメーカーであっても、現実を直視して新たな成長機会を模索する必要に迫られている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月28日
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