独VWの中国戦略「シェアより利益」に転換の事情 中国勢との消耗戦避け、中長期で巻き返し図る

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VWグループは中国市場での巻き返しを2026年から投入する新型車群にかける(写真はVW中国法人のウェブサイトより)

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループが、販売台数の減少が続く中国事業の戦略転換を打ち出した。

「中国市場では利益の確保を最優先する。利益を犠牲にしてシェアを取りにいくことはしない」。VW中国法人のラルフ・ブランドステッターCEO(最高経営責任者)は11月1日、そのような新方針を明らかにした。

VWグループの中国市場での販売台数は、2024年1月から9月までの累計で205万7000台にとどまり、前年同期比10.2%減少した。そのうち直近の7~9月期の減少率は同15%と、販売不振が深まっている。

「EVで利益確保は困難」

ブランドステッターCEOによれば、中国市場ではEV(電気自動車)の熾烈な値引き競争が繰り広げられており、EV事業で利益を確保するのは非常に難しい。

とはいえ、VWを含む外資系自動車メーカーの“ドル箱”だったエンジン車は、需要が急速に縮小している。自動車販売の業界団体である全国乗用車市場信息聯席会(乗聯会)のデータによれば、中国の乗用車市場における2024年1月から9月までのエンジン車の販売台数は844万台と、前年同期比16%減少した。

それとは対照的に、EVとPHV(プラグインハイブリッド車)を中心とする「新エネルギー車」の需要は急拡大が続く。乗聯会のデータによれば、1~9月の新エネルギー車の販売台数は前年同期比37.4%増の713万2000台に達した。

EVシフトへの対応が遅れた外資系メーカーは、エンジン車の大幅な販売減に直面すると同時に、新エネルギー車では中国メーカーの価格性能比の高さに太刀打ちできず、市場シェアを落とし続けている。

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