首相肝いりで再始動 「復興増税」論議の着地点
政権交代のドタバタで一時頓挫していた復興増税の論議が、野田佳彦政権の発足でようやく動き出した。
政府税制調査会は野田政権発足後、初の本体会合を9月7日に官邸で開催。東日本大震災からの復旧・復興事業にかかわる財源について、政府税調内に設けられた「復興・B型肝炎対策財源作業チーム」(座長・五十嵐文彦財務副大臣)が議論を進めている。
与党である民主党も、従来あった「税制改正プロジェクトチーム」を「税制調査会」に名称変更。会長に元財務相の藤井裕久氏、会長代行に中野寛成・前国家公安委員長、副会長に海江田万里・前経済産業相ら重量級の議員を据え、親小沢、反小沢派を問わず、党内一丸となって増税論議を展開していく構えだ。政府・与党において増税を議論する舞台装置は一応整った。
消費税増税は消極的
目下、最大の論点は、当初5年間で必要とされる約19兆円の復興事業の財源を賄うために、「どの税目」で「いつからいつまで」「どの程度」増税するかだ。これ以外に年金国庫負担の財源やB型肝炎訴訟の費用負担もある。
19兆円のうち、6兆円は1次、2次補正予算ですでに手当てが済んでいる。残る13兆円のうち、3兆~4兆円程度を政府保有株の売却など税外収入で賄い、9兆~10兆円はいったん国債で調達。増税を何年間か継続し、国債を償還していくことになる。仮に10兆円の国債を10年間で償還するなら、年間1兆円規模の増税が必要になる計算だ。
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