首相肝いりで再始動 「復興増税」論議の着地点

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問われる党税調の力

もう一つの焦点である増税幅と合わせて議論になっているのは、税外収入をどれだけ積み上げられるか。五十嵐財務副大臣は13日の作業チーム会合後、「(税外収入は)4兆円に達するのではないか」と述べ、当初見込んでいた3兆円の税外収入より1兆円積み増しできることを示唆。その分、増税幅は圧縮される。

さらなる増税幅圧縮のため、野田首相は日本郵政株売却について前向きな姿勢を示している。が、審議のストップしている郵政民営化論議と絡んでおり、実現には不透明感が漂う。

懸念材料は、新たに衣替えした民主党税調と政府税調との関係だ。

「自民党時代の政府税調はあってなきがごとしだった。与党が、聞くに値しないことまで業界団体の言うことを聞き、税制を曲げていた」(藤井会長)という反省から、民主党政権では税制改正の権限を政府税調に集中させた。ただ、与党の増税反対論を抑えるには、党税調の発言力を強化する必要がある。そうすると、「自民党税調への逆戻り」との批判は免れそうにない。

増税決定までにはまだひと波乱ありそうだ。

(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年9月24日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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