ひとつは、交通結節拠点での乗り継ぎの「利便性を上げる」ことだ。東京など大都市に住む人であれば、公共交通の乗り継ぎにあまり抵抗感はないだろう。
それが高松市のような地方都市になると、目的地まで「1本で行けることが当たり前」という考えを持つ人が少なくない。乗り継ぎは面倒であり、余計な時間がかかるという抵抗感があるのだ。
その解決方法として、路線バスと電車のダイヤを調整するなど、乗り継ぎ時の待ち時間縮小に努めた。あわせて、バスロケーションシステムを活用したデジタルサイネージを設置したり、自転車駐輪場を設置したりもしている。
また、中心部で起こる朝晩の渋滞を避けるため、都市部から少し離れた仏生山駅では、パークアンドライド用に116台の駐車場を設置。利用者が、年々増えている状況だ。
もうひとつは、乗り継ぐことで利用料が増加することを防ぐ施策で、ICカード「IruCa(イルカ)」を活用して、路線バスと電車の乗り継ぎ割引をそれまでの20円から100円に拡大している。また、路線バスとコミュニティバスの乗り換えでも、100円割引を公費で賄う形とした。
また、市内在住の70歳以上は、IruCaで電車、路線バス、コミュニティバス等の公共交通の利用料を半額にしている。2024年3月末時点で、70歳以上人口の約33.6%がIruCaを所有するまでに普及が進む。
新交通「バタクス」の実証試験も開始
こうした施策の効果は、はっきりと表れている。コロナ前に右肩上がりであった、ことでんの鉄道とバスと利用者数は、コロナ禍で一気に減少したものの、その後は現在に至るまで順調に回復している。
一方で、路線バスの利用数が極端に少ない、または鉄道の駅までかなり遠い地域など、いわゆる交通空白地域においては、新しい交通手段を考案した。
今年1月から実証試験を1年間行う「バタクス」だ。路線バスとタクシーの中間的な存在という意味合いから、そう名付けられた。
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