実証試験では、平日6便の定時定路線(ジャンボタクシー、乗り合わせ4人まで、200円定額)と、12時から17時まで、指定エリア内でどこでも行けるオンデマンド型路線(同一目的地であれば4人まで乗り合わせ可能、600円定額)の双方による検証を行っている。
前者は、市が運賃収入以外を全額負担。後者は、運行距離に応じたタクシー運賃から、運賃を控除した額の3分の2を高松市が、残り3分の1を事業者が負担する仕組みだ。どちらも運用は、交通事業者が緑ナンバー車で行う。
乗り合いタクシーは、市が事業者から借り上げる形が一般的だ。そのためバタクスでは、市の負担を大幅に軽減できる。
ただし、こうした仕組みは全国で前例がないため、高松市は現在、国と協議を進めている段階だ。高松市は、現時点で利用者数が少ないコミュニティバスの代替交通として、バタクスを使うことも視野に入れている。
先を見ながら「変革の可能性」を深掘りする
こうして、高松市の公共交通の再編計画の実態を知って感じるのは、「積極性と実効性の高さ」だ。
しかも、他の都市における公共交通と財政負担の割合からみれば、高松市の財政負担は最小限に抑えられている。2023年度の公共交通施策予算は年間約2億5000万円で、一般会計に占める割合は、約0.15%だった。
財政負担が多くなりがちな地域交通施策の中にあって、財政負担を抑えながら利便性を高めている点は、高松モデルで注目すべき部分だろう。
高松市は、高松モデルについて次のように説明している。
「既存ストックとICカードを活用し、ハード・ソフト両面からの施策により、一定のサービス水準を維持しながら、持続性の高い公共交通に変えつつ、需要に合わせた供給の最適化を行う」
社会の現実を直視し、一歩先を見ながら「変革の可能性」を深掘りする。それが「高松モデル」であると感じた。
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