日立・三菱重工の経営統合は幻だったのか?--中西宏明・日立製作所社長に直撃インタビュー
私はすべての事業がグローバル化の波の中にあると思うし、業界も再編の時代だと思う。たとえば、PCひとつとったって、メーカーの数は減る方向。シェアトップのHP(ヒューレット・パッカード)ですら、自社では全部を背負い切れないからPC事業を本体から切り離すとか、そういうことを言う時代。あるサイズのビジネスをやっていると、誰でも実感する感覚ではないか。
--日立製作所はグローバルに勝てるコスト競争力実現のために、全社的な改革プロジェクトに着手。「まず意識改革」と中西さんは強調していますが、いま日立が置かれた状況をどう整理し、何が最大の課題と考えていますか?
まず誇りを捨てよ、と言っているんだ。なぜかというとね、日立は技術的に高い製品、高品質な製品を売っているので、他社より値段が高くて当然だと考えがち。でも、腹の中でそう思っていたら、絶対負けるんだよね。いい製品だから安くつくれる、そういうふうに頭の中を変えてもらわないと。
お客さんが買ってくれて初めて、高い品質だとか高い機能を喜んでもらえるのであって、買ってもらえなかったらいくらいいものでも何にもならない。それが現実なんですよ。高くて当然という気持ちが心の隅にあったら、絶対に高くしかできない。安くつくるのは、高い技術があって初めてできることなんです。
これを私はHDDの会社を経営しているときに痛感した。当時、そんなにコストばかり言うCEOは嫌いだ、とメールの投稿が社員から何度も送られてきた。そんな社内のカルチャーを壊すのは大変でしたよ。でも、最後には高品質で、なおかつコストも安くできるようになったんですね。ああいう大量生産品は、ストレートにコストに結びつく。