川崎重工「裏金」で海自隊員へ金品供与の悪習 長年の癒着構造が追い風の"防衛バブル"に冷水

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川崎重工・神戸工場の造船所では、修繕部が定期的に海自の潜水艦の検査・修理を行っている。この間、乗組員は造船所に隣接する川崎重工の宿泊施設「海友館」に寝泊まりし、数カ月間にわたって共同で修繕作業を行う。

閉鎖的な環境で親密になる中、修繕に使う工具のほか、商品券、生活用品、飲食などが多くの海自隊員に対して提供される癒着関係が築かれていったとみられる。なお自衛隊員倫理規程では、利害関係者から金銭、物品、供応接待を受けることを禁じている。

前出の海自OBは、「造船所では潜水艦に限らず艦艇乗員を接遇する文化があった。ただ、官製談合が社会問題になった30年ほど前にこうしたやり方は終わったはず。それが艦艇、中でも機密性が高い潜水艦では、過度な接遇文化が令和の今まで残ってしまったのだろう」と語る。

国税に指摘されるまで外部に漏れなかった

実際、事件は今年2月下旬に大阪国税局の税務調査により指摘されるまで外部に漏れることはなかった。防衛省が川崎重工から報告を受けたのは4月。その後、海上幕僚監部に一般事故調査委員会を立ち上げ、契約内容や規律違反の疑いについて調査を開始した。

7月5日の記者会見で木原稔防衛相は「万が一にも国民の疑惑や不信を招くようなことがあってはならない。判明した事実関係に基づき厳正に対処する」と述べ、実態調査のための特別防衛監察の実施を決めた。

国の防衛予算が大幅に増額される中、近年、重工各社の防衛事業は勢いを増している。2023年度の防衛事業の受注額は、川崎重工が前年度比倍増の5530億円、三菱重工が同3.3倍の1.8兆円と急速に拡大した。

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