工作機械は主に金属を切削、研削し、部品や金型を加工する機械のこと。さまざまな機械がこの工作機械で加工された部品や金型を使っていることから、「機械を作る機械」「マザーマシン」といわれる。
工作機械の販売先の多くはメーカーだ。注文(受注)が増えるということは更新需要もあるが、「生産を増やす予定がある」「設備投資の意欲がある」メーカーが増えているということになる。
景気が上向けば、製造業の設備投資の意欲は高まる。つまり工作機械の受注状況は、景気の先行きを知る手がかりとなる。工作機械の業界団体である日本工作機械工業会(日工会)では、毎月、会員企業から受注状況を集計し、月次で速報と確報を発表している。実際、この受注状況は「景気の先行指標」ともいわれ、市場関係者の注目度も高い。
確報発表時には定例会見が開かれ、数字だけでなく、背景など定性的な話も出る。今回は12月25日発表の2024年11月分の受注統計(確報)と、同日に行われた稲葉善治日工会会長(ファナック会長)らが登壇する定例会見・質疑応答の模様をお伝えする。
国内の底ばいが続く
2024年11月の工作機械の受注総額は1193.3億円。外需の大型受注が縮小したことで、前月比はマイナス2.6%、3カ月ぶりに1200億円を下回った。ただ、前年同月比はプラス3.0%になっている。
受注総額のうち、内需は343.3億円。前月比プラス2.7%で、前年同月比はプラス5.0%と実に27カ月ぶりの前年同期比プラスとなった。
11月に開催されたJIMTOF(日本国際工作機械見本市)の効果が大きいが、前年同月比でプラスだったのは前年同月も低迷だったためで、いまだ自動車や航空機関連などは低水準で推移している。「増加局面に差しかかったと受け止めるには時期尚早。目立った形で受注が増えるには、多少時間がかかる」(稲葉会長)と指摘する。
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