工作機械は主に金属を切削、研削し、部品や金型を加工する機械のこと。さまざまな機械がこの工作機械で加工された部品や金型を使っていることから、「機械を作る機械」「マザーマシン」といわれる。
工作機械の販売先は製造メーカー。注文(受注)が増えるということは更新需要もあるが、この先「生産を増やす予定がある」「設備投資の意欲がある」企業が増えたということが読みとれる。
景気が上向けば、企業の設備投資の意欲は高まる。つまり工作機械の受注状況は、景気の先行きを知る手がかりとなる。工作機械の業界団体である日本工作機械工業会(日工会)は、毎月会員企業の受注状況を集計し、月次で速報と確報を発表している。実際、この受注状況は「景気の先行指標」ともいわれ、市場関係者の注目度も高い。
確報発表時には定例会見が開かれ、数字だけでなく定性的な情報も得ることができる。今回は2023年12月26日発表の11月分の受注統計と、稲葉善治日工会会長(ファナック会長)らの質疑応答をお伝えする。
11カ月連続で前年同月比割れ
2023年11月の受注総額は1159.0億円。前月比で3.4%増になったものの、前年同月比ではマイナス13.6%と、11カ月連続の減少となった。とはいえ、好・不調の目安となる1000億円は34カ月連続で維持。調整局面でも底堅い動きを続けている。
稲葉会長は「下押し要因が数多く見られる状況において、受注総額はやや弱く見えつつも大崩れすることなく、1100億円以上の水準を保ち、健闘している」との見解を示す。
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