前年割れが続くが、底堅い動き
景気の先行指標である、工作機械の受注状況と、業界団体の定例会見をリポート
工作機械は主に金属を切削、研削し、部品や金型を加工する機械のこと。さまざまな機械がこの工作機械で加工された部品や金型を使っていることから、「機械を作る機械」「マザーマシン」といわれる。
工作機械の販売先の多くはメーカーだ。注文（受注）が増えるということは更新需要もあるが、「生産を増やす予定がある」「設備投資の意欲がある」メーカーが増えているということになる。
景気が上向けば、製造業の設備投資の意欲は高まる。つまり工作機械の受注状況は、景気の先行きを知る手がかりとなる。工作機械の業界団体である日本工作機械工業会（日工会）では、毎月、会員企業から受注状況を集計し、月次で速報と確報を発表している。実際、この受注状況は「景気の先行指標」ともいわれ、市場関係者の注目度も高い。
確報発表時には定例会見が開かれ、数字だけでなく、背景など定性的な話も出る。今回は3月26日発表の2024年2月分の受注統計（確報）と、同日に行われた稲葉善治日工会会長（ファナック会長）らが登壇する定例会見・質疑応答の模様をお伝えする。
前年同期比で14カ月連続減少
2024年2月受注総額は、1142.1億円。前月比プラス2.9％で、2カ月ぶりの増加となった。前年同月比はマイナス8.0%で、14カ月連続の減少となっている。
「四半期末の月以外は2023年5月以降、1100億円台の受注が連続しており、依然として緩やかな調整局面の中で底堅く推移している」（稲葉会長）
このうち、内需は325.4億円で、前月比ではプラス6.3%と2カ月ぶりに増加したが、前年同月比はマイナス16.4%で、18カ月連続で減少している。
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