川崎重工「裏金」で海自隊員へ金品供与の悪習 長年の癒着構造が追い風の"防衛バブル"に冷水

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従来、防衛産業は利幅が薄く撤退する企業が相次いでいた。そのため国は2023年に防衛装備の企業側利益率を8%から最高15%まで大幅に引き上げる方針を新たに示したばかり。

川崎重工は現在、5%未満の防衛事業利益率を2027年度までに10%以上にする目標を掲げている。これが実現すれば年間500億〜700億円を稼ぐ主力事業となる見込みだ。

こうした期待と業績回復を追い風に、川崎重工の株価は事件が明らかになった7月3日に2015年以来の高値を突破していたが、翌4日は前日比7.3%安の5978円に反落した。防衛受注への影響などが懸念され、水を差された格好だ。

過去に指名停止処分も

川崎重工が防衛産業で問題を起こしたのはこれが初めてではない。2012年には新多用途ヘリコプター「UHーX」の開発をめぐる官製談合事件が発覚。2013年に防衛省から入札の指名停止処分を受けたことがある。

橋本康彦社長は「心からお詫びする。関与した人、流れ、背景についてはわかっていないことも多く、特別調査委員会を通してしっかりと解明したい」と陳謝のコメントを出している。

川崎重工側は、「修繕部の課長レベルまでが関わっていたことを確認している。役員は把握していなかった」と説明するが、組織的な関与があったのかどうか、そしてコンプライアンス体質を一新できるかどうかが焦点となる。2024年内に特別調査委員会による報告書をまとめて公表する予定だ。

川崎重工は防衛省との契約実績で、三菱重工に次ぎ長年2位を誇る防衛の中核企業だ。それだけに、不適切な実態は明らかにし、襟を正さねばならない。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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