昭和世代には懐かしい「ヘチマ」見直される"良さ" 静岡県浜松市の市民団体が復活・普及に奮闘中

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かつて浜松のヘチマ産業の発展に貢献した織田利三郎という歴史的人物がいた。織田氏は、ヘチマなどの農産物の輸出振興をしながら、国際博覧会においてヘチマで作った「ゾウ」を展示し、世界一の品種と認められた。市内には彼の功績を称えるために建てられた「顕彰碑」(けんしょうひ)がある。

昨年実ったヘチマ
昨年実ったヘチマの様子(写真:浜松へちま・ミライ提供)

五明さんは「浜松へちまプロジェクト」とは別に、市の「創造都市」推進事業にも応募し、6月下旬に補助金対象事業として採択された。事業名は「夢みるクジラは、120年後のそらを泳いでいた」。

プラスチックによる海洋汚染が問題となっている中、海洋生態系の頂点にいるクジラのオブジェをヘチマで製作し、展示会場の天井から吊り下げる。会場では浜松のヘチマの歴史がわかる写真や資料なども展示する計画だ。

「近所のスーパーでヘチマが買えるように」

五明さんは、「ヘチマスポンジに出会い、キッチンのスポンジはヘチマでいいと思った。同じ思いの人が、近所のスーパーでもヘチマが買える世の中になってほしい」と語る。

織田氏は遠州偉人伝の中で、「世の中の捨ててしまう廃物を利用したら日本には倍の富ができるぞ」と説いている。これは日本人の持つ「もったいない精神」や「循環型経済(サーキューラーエコノミー)」に通じる。

国は数年前から農林水産物の輸出を振興しているが、農林水産省のデータによると、昨年1年間における農林水産物の貿易収支は11兆の赤字(輸入超過)。

農業従事者の高齢化や減少という問題はあるが、国内で農産物を作る努力は必要だろう。その際、環境保全に役立つのであれば、なお望ましいと言える。

【写真】かつては日用品の素材として重宝されていたヘチマ。小学校で栽培した思い出がある昭和世代も多いだろう。昔の様子を残した古い資料や浜松市で行われている取り組みの様子など(14枚)
伊藤 辰雄 ジャーナリスト

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いとう たつお / Tatsuo Ito

大学卒業後、ロイター通信社、ウォール・ストリート・ジャーナルなどで記者として、経済・金融政策、金融市場を中心に30年以上に渡り取材。現在は、フリーランス・ライターとして環境分野を中心に取材執筆するほか、会社四季報で食品関係の企業を担当。2024年3月上智大学大学院・地球環境学研究科修了(環境学修士)

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