消えゆく国鉄気動車「キハ40」まだ乗れる路線 北海道や九州、確実に走っているのはどこ?

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定刻になり列車は静かに動き出す。大都会を進むが、ほんの10分ほど、厚別を過ぎる頃にはビル群も途切れ、周りは真っ暗となる。道路脇のオレンジ色の外灯だけが浮かび、ときおり通る車のライトがまだ夜の風情だ。

仕事に行く人だろうか、大麻、野幌と駅々で地元の客が乗ってくる。けれども車内はみな無言で、ディーゼルエンジンの音と雪でくぐもったレールの響きだけが聞こえてくる。

キハ40 サボ 塗装剥落
キハ40形の側面。長年の活躍を物語る(筆者撮影)

6時半を過ぎると、遠くの空がほんのり明かりを帯びてくる。地平線に近いところは赤く、上方に向かうにつれ薄い青から濃い青となる。岩見沢に到着する頃にはすっかり明るくなった。辺りは雪深く、民家の壁面に反射する朝日が眩しい。

滝川から大学生くらいの若者が多数乗ってきて、車内の空気は朝の活気へと変化していく。深川を過ぎ、断続的に続くトンネルをくぐると、やがて大きなビル群が見えてきて終着の旭川に着いた。

さらに旭川からは石北本線、新型のH100形で上川に向かい、11時8分発の遠軽行きに乗車した。この列車もキハ40系で、終点の遠軽で網走行きへと変わる。私は上川から網走まで、さらにおよそ5時間、この車両を味わったのだった。

北海道キハ40乗車経路 2024年1月
2024年1月のJR北海道キハ40系乗車区間(赤線)。同年3月でこれらの区間からは引退した(筆者作図)

確実にキハ40に乗れる路線は?

かつては全国で活躍したキハ40系も数を減らし、すでにJR東日本やJR東海では走っていない。JR北海道でも2025年3月で定期運行から引退する予定だ。2024年夏の時点で、確実にキハ40系に乗ることができるのは以下の路線である。

JR北海道
根室本線:滝川―富良野間
函館本線:函館―長万部間(ただし函館―森間にキハ150が1往復存在)
(第三セクター)道南いさりび鉄道

 

JR西日本
城端線
氷見線
播但線:寺前―和田山間
吉備線
岩徳線
山陰本線:城崎温泉―浜坂間、長門市―下関間(ただし人丸―滝部間は災害で現在不通)
山口線

 

JR九州
日田彦山線:小倉―添田間
後藤寺線
唐津線:西唐津―佐賀間
長崎本線:諫早―肥前浜間
吉都線
肥薩線
日南線
指宿枕崎線:指宿・山川―枕崎間

【2024年7月13日20時20分 追記】記事初出時、一部路線名が欠落していたため上記の通り追加修正しました。

キハ40系には、車両の両側に運転台があり1両で走れるキハ40形、片側だけに運転台があるキハ47形とキハ48形(ドアの形状と位置が異なる)の大きく分けて3タイプがある。いずれにせよ、地元の方からすれば新型車両のほうがよいはずで、旅行者の勝手な郷愁でしかなく、むしろ置き換えは遅いぐらいである。静かに見送るほかはない。

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