「山手線の内側マンション」は鉄板ではない なぜ「おカネ持ち」は高台以外は買わないのか

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一方で、比較的安価な低地をあえて買うという選択をする人もいる。リセール(転売)目的で、一時的にそこに住む場合にはあえて価格が高い高台を避け、リーズナブルな低地物件を購入するのもひとつの選択肢だ。

大まかに言えば、目的によってどこを買うかが分かれるわけだが、やはり手堅いのは高台だろう。これは鉄則といえる。私の知る限りでも、資産価値を重視して家を建てる人たちは、多くが高台を選んでおり、低地を選んでいる人はあまり多くはない。

高台で、なおかつターミナル駅からの距離が近いところは理想的だ。なぜなら、駅からの距離は不動産価格を大きく左右する要因だからだ。だが、港区の高輪台などの台地は駅からは距離があるものの、かえって落ち着いた雰囲気があるため、人気の高いエリアとなっている。

判断が難しい「埋め立てエリアのタワーマンション」

住宅を選ぶ際、高台か低地かは重要な条件だと述べてきたが、タワーマンション(高層マンション)はそうした問題とはあまり関係がないと言えるだろう。

例えば湾岸に建つタワーマンションは、埋め立てた人工地盤上に、岩盤まで支持杭を打つことによって成立している。つまり、「人工高台」を強引につくっているわけだ。地価の安い低地にアドバンテージの高いマンションを建てて高台から見下ろすという「逆転の発想」であり、そうしたところをあえて購入するのはもともとの地価が安い分、価格面では非常にメリットが出る選択ともいえる。

付け加えれば、低地でも高台でもタワーマンションは岩盤まで杭を打たなければならない。地下30メートル、あるいは50メートルといったかなり深いところに岩盤がある埋め立てエリアでも、杭さえ打てばタワーマンションが建つわけだ。

その点、中央区や江東区のような埋め立てエリアは、まとまった空地がある分、かえって高層建築物が建ちやすい。この連載でも、「今から東京で家を買うなら、台東区や江東区だ」でも書いたように、東京東部は基本的にはオススメだ。ただその一方で、災害時に液状化現象が起きる危険性がある場所も存在する。その対策を考えると、この地区でタワーマンションを買っていいかどうかの判断は難しい。

とりわけ心配なのは建物以外の被害だ。もし液状化現象が起きればマンションの外は海のような状況になる。そのため、残された人々のための食料の備蓄など、二次的な対策をしっかりやっておかなければならないだろう。

また、タワーマンションに限らないが、高速道路沿いなど排気ガスの影響が大きなエリアも極力避けた方が無難だ。将来、電気自動車になれば問題は解決できるのかもしれないが、それまでは問題を抱え続けることになる。

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