「山手線の内側マンション」は鉄板ではない なぜ「おカネ持ち」は高台以外は買わないのか

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高速道路に関連したトピックといえば、中央区の日本橋上のある首都高速道路を外して、「日本橋川に空を取り戻す」という計画が持ち上がっている。もし、本当に実現すれば周辺の地価も大きく変動するだろう。高架がなくなれば河川敷のコミュニティーは復活し、高速道路で価値が減じた場所の地価が逆転する可能性もある。

駅直結のタワーマンションは価値が高い

さて、タワーマンションについてもう少し触れつつ、今回の記事のまとめにかかろう。

家を選ぶ際は、地盤が大事であり、高台か低地かを頭に入れたいが、選択をする際には、必ずメリットとデメリットが混在していることに注意したい。

一方、タワーマンションについては、前述のように、少し例外的な考え方もあることを覚えておいていただきたい。また不動産を選ぶ場合は駅からの距離が価格を大きく左右する要因だが、タワーマンションの場合は、特に地上に出ることなくそのままアクセスできる「駅直結型のマンション」は別格で、「特A級」で価値が高いと言ってもいいだろう。

また、付け加えれば、駅から3分以内のタワーマンションは、ある一定規模の人口がそこに住むことになるので、一定以上のレベルのお店ができたり、必要なインフラが整備されていく。住民も比較的所得が高い層が引っ越してくることになるだろう。そうなれば駅自体の価値は上がり地価が上昇する。駅近のタワーマンションは、エリアのポテンシャルを上げる起爆剤になる。

東京圏を東西に分けると、タワーマンションではやはり海が近い東の人気が高く、西はいま一つ人気がない。そうしたエリアでも、川崎市の武蔵小杉や世田谷区の二子玉川のように一気に駅前開発が進み、タワーマンションが立つとそれが起爆剤となって発展していく。

タワーマンションの住民が求めているのは、タワーの中で全てが完結するサービスだ。つまりタワーの中に1つの都市がある。住民はその都市環境を丸ごと買っているという側面もある。いずれにせよ地盤については「アースダイバー」に詳しく書かれている内容を一つの指針として、参考にするといいだろう。

黒崎 敏 建築家

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くろさき さとし / Satoshi Kurosaki

1970年石川県金沢市生まれ。1994年明治大学理工学部建築学科卒業後、積水ハウス株式会社東京設計部で新商品企画開発に従事、FORME一級建築士事務所を経て2000年APOLLO設立。2008年株式会社APOLLOに改組。現在、代表取締役、一級建築士。「グッドデザイン賞」「東京建築賞」「International Space Design Award」グランプリなど国内外の受賞歴多数。都市住宅を中心に国内外で設計活動を行う。
 

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