私が「受験競争」を子どもたちに勧める理由

精神科医から見た「建設的な競争」

(写真:msv / PIXTA)
昨今、「他人と自分を比べるべきではない」という考え方が人気を集めている。子どもの運動会で順位をつけないというのもひとつだ。しかし、そうした風潮に精神科医の和田秀樹氏は疑問を投げかける。他人との差異を知り、傷つくことを極端に避けることが、本当に幸せにつながるのか? 前回記事に続き、この問題について考えていく。
※前回記事:他人と比べない生き方」では幸せになれない

自己愛を満たすことの重要性

前回記事では、いろいろな競争の方向性を用意して、勝つ体験をさせる、あるいは、勝つ体験をすることは非常に重要だという話をした。人と比べることは人間の基本的な性のようなものであり、そうしたほうが、その後の健全な自信につながるからだ。

しかし、もうひとつの壁になるものがある。精神分析でいうところの自己愛である。

前回記事で紹介した精神分析学者のコフートは、自己愛というのは、他人を通じてしか満たされないと論じた。要するに、自己満足ではダメで、人に認められないと自己愛が満たされないということである。

人に認められなくても「俺は天才だ」「俺はすごい」と思っている自信家の人はいるが、どこか虚勢を張っているように見えるし、実際の業績がない限り、周囲から見ても、健全な自信には見えない。

もちろん、その手の自信でも、自分の天才を信じてチャレンジを続けていれば、最終的には成功につながるかもしれないし、自信が持てなくて、引っ込み思案になるよりいいかもしれない。

しかし、例えば子どもの世界でも、「勉強しないからできない」「やればできる」と一見、自信のあるようなことを言いながら、やってもできなければ自分がみじめになるからと(これが意識できていないことも多いのだが)、勉強をやらないままで、「やればできる」と言い続けたり、信じ続けたりする人も少なくない。

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