カリスマ「ビール売り子」だけが知る必勝法 なぜ、あの子はいつもバカ売れなのか

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球場で飲むビールは格別(写真:ako / PIXTA)

そしてトップクラスになるとどうか。

「トップの売り子は、球場に出かけて行くと基地に10分で戻ってきます。1樽で25杯分なので、10分で25杯売ってきたことになる。試合展開にもよりますが、1試合で12回ぐらい戻ってくる。すると25杯×12回=300杯になります」

ということは、ほんの3時間前後にたった1人で20万円以上を売り上げる計算となる。この数字を達成できるトップ売り子や、新人から一気に伸びる子は何ができているのだろうか。

「教えたこと」より「気づいて工夫すること」が大事

「アイコンタクトは必須です。目が合わない人からモノを買う人はいませんよね。また、通路を歩きながら、階段を昇りながら、買うサインを出しているお客様を感じ取れる、見つけられるかもポイントのひとつ。ただ、販売技術の面は、売り子さん自身で工夫したり、アレンジしたりしていることの方が多いです。僕らの教えたことは本当に基礎的なことだけなのです。彼女たちの自主的な努力が9割。僕らが言う前にやっている子は、必ずいい売り子さんになります。そんな子は、売り子の仕事を楽しんでやっている、それがよくわかるんです」

基本的なことはチェッカーが教えたとしても、その後の販売技術の向上は本人次第。自分で考え、先輩から学び、個人個人で工夫して実践を積み重ねているのだという。言われたことをやる、というより、自主的に取り組むことが大事なのだろう。

「そのほかに大事なのは、ネガティブな状態になっても、引きずらないことです」

誰でも仕事をしていてうまくいかないときがあると、気持ちがネガティブな状態になる。売れていない実感が焦りを生み、ほかの売り子と比較して自信をなくす。毎日、基地内に貼り出される売り上げの結果に落ち込んでしまう。そうなると目配りができなくなり、体もキレも悪くなる。それこそ悪循環だ。

オリジナルで編み出す「勝ちパターン」

第1回から売り子さんの「スゴイ」販売技術を、いろいろな角度からお伝えしてきた。それは、一見“ちょっとしたこと”ではあるが、その取り組みの差が大きな結果につながっていた。その“ちょっとしたこと”は、売り子さんによって、さまざまであることもわかってきた。

・テキパキあちこち動きまわる子と、あまり動かないでエリアを集中している子
・積極的にお客様に話しかける子と、話しかけられやすい雰囲気を作っている子
・常連客を徹底的に回る子と、新規のお客さんとバランスよく回る子

 

と、トップ売り子さんでも人によって細かい点は異なっているのだ。

各自があれこれ工夫してやっている点が、重要なのである。「言われたことをやるのは当たり前」「その上で、自分で考えてあれこれアレンジしたり、工夫してやっている」。それは裏方から見てもそうだ。つまり、基本的な動作やマナーなど人から教わることがあっても、結局は正解のない世界だ。

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