うらやましい!Googleの人事評価と福利厚生 人事担当責任者が語る「社員を尊重する」ワケ
「当然のことでもあった。大きなリスクを選ぶことによって不利益を被るわけではないという姿勢を、会社として明確にしたかったのだ」
ランチ、送迎バスを無料にする理由
「食事と軽食を無料で提供していることは、学術研究にもとづく考察が現実の世界にあてはまるかどうかを確認する実験にうってつけだ。
カフェテリアは基本的に1日2食(朝食と昼食か、昼食と夕食)。セルフサービスのマイクロキッチンにはつねに飲み物(炭酸飲料、ジュース、お茶、コーヒーなど)と軽食(生の果物、ドライフルーツ、クラッカー、チップス、ダークチョコレート、キャンディなど)がある。
オフィスの規模によって異なるが、社内にジムや診療所があり、カイロプラクティクスや理学療法、パーソナルトレーニング、エクササイズとヨガとダンスの教室を利用できるほか、ボーリング場もある。医療サービスとパーソナルトレーニングの料金は社外と同じレベルだが、施設や教室は誰でも無料で利用できる」
グーグルで働くことについて、周囲が最もうらやましがることのひとつが、この至れり尽くせりの福利厚生だろう。食事については、健康と寿命にかかわる要因の中ではコントロールしやすいものとの位置づけで、社員の体調管理に一役買っている。
さらに社内で提供されているサービスの例を挙げてみよう。
高収益のグーグルだからこそできること、と思いがちだが、意外にもそれほどコストはかかっていない。
「これらのサービスについて、グーグルは基本的に費用を負担していない。会社が業者に支払いをするわけではないのだ。サービスを提供したい起業家が申請して、社内で実施する。料金は利用した社員が払う(会社が団体割引を交渉する場合もある)。食料品の配達など、社員が自ら運営しているサービスもある」
シリコンバレーでは、グーグルに来た移動美容室は翌日にはヤフーを訪れるという。
会社の規模が大きくなるにつれ、創業時のようなコミュニティ意識をどう維持するかがグーグルにとっても大きな課題になってきている。
日本企業でも夏休みにあるような「子どもの職場参観」をグーグルでも以前から実施しているが、2012年からはついに「親の職場参観」を開始した。子どもの職場を見に来た親たちは皆、目に涙をためて感動しており、子どもとの距離が縮まったと喜び、感謝していたという。ボック氏も、「私にとって、グーグルで働き始めてからいちばんうれしい1日だった」と語っている。
(「週刊東洋経済」2015年6月13日号に一部加筆し転載)
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