TOPIXは日経平均より魅力的になるかもしれない 今回の東証TOPIX改革は「ビッグサプライズ」だ

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今後、構成銘柄に選ばれるためには、まずは収益向上を目指すことになるだろう。例えば、積極的なIR活動で会社の知名度を上げ、身の丈に合った増配なども実施されるはずだ。

さらに浮動株比率を上げるため、安定大株主による持ち合いなども解消されよう。このような競争原理が働くことにより、従来よりも桁違いの市場の活性化にもつながるだろう。中期的な日本経済そのものの活性化にも大きく寄与するはずだ。これでTOPIXの未来は明るくなったと言える。

日経平均よりもTOPIXが魅力的になる可能性も

では、今回の「TOPIX改革第2弾」はどのくらいのインパクトがあるのだろうか。日本の公的年金の9割がパッシブ運用だが、これと日銀の日本株のパッシブ運用残高を合計すると、100兆円超の規模となり巨額だ。これらはTOPIXをベンチマークとした運用が多い。

今後、対象銘柄が2000超から1000銘柄程度へと大幅に減少することは、こうしたパッシブ運用の機関投資家だけでなく、すべての株主にとってメリットがある。運用をするにあたって、「議決権行使」などの作業負担が大きく軽減され、議案の精査などに時間を使える。またその分、1社あたりの「エンゲージメント」(経営者との直接対話などを通じて投資先企業に対して企業価値が向上するような提案や提言をすること)に時間をさくことが可能になるからだ。

これは、一企業だけでなく、日本経済そのものを活性化するような話だ。今後のTOPIXは日経平均株価に比べても「買い」になるはずだ。「エンゲージメント」が一段と深化し、その手段として厳格な「議決権行使」などをすることによって、これまで以上に株主と企業に適切な緊張感が生まれるとみている。中期的なTOPIXの上昇に期待したい。 

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

糸島 孝俊 株式ストラテジスト

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いとしま たかとし / Takatoshi Itoshima

ピクテ・ジャパン株式会社投資戦略部ストラテジスト。シンクタンクのアナリストを経て、日系大手運用会社やヘッジファンドなどのファンドマネジャーに従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株ファンドの運用経験を持つ。ピクテではストラテジストとして国内中心に主要国株式までカバー。日経CNBC「昼エクスプレス」は隔週月曜日、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」、ストックボイス、ラジオNIKKEIなどにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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