TOPIXは日経平均より魅力的になるかもしれない 今回の東証TOPIX改革は「ビッグサプライズ」だ
したがって、上位96%を下回ってもすぐに抜けるわけではない。だが、市場の変化についていけない銘柄は、だんだんと時価総額順位が落ちていくので、脱落しやすくなる。脱落したくないなら、当然マーケットの平均以上は頑張らないといけない。既存の構成銘柄にはかなりのプレッシャーになる。新たに上位になった銘柄が入り、基準を満たさなくなったものは外れるという「構成銘柄の出し入れ」が、いちばん大きな変化だ。
すでに競争原理は働き始めた?
実際に銘柄の入れ替えがスタートするのは2026年10月であり、まだ先の話のように見える。とはいえ、入れ替えに当たっては2026年8月のデータが使われるので、実際にはあと2年ほどであり、今年度(2025年3月期)、来年度(2026年3月期)中に先んじて、対応を決めて動くしかない。
また、2026年10月から2028年7月までは次期TOPIXへの段階的移行措置が行われる。具体的には、2026年10月から四半期ごと、合計8回にわたって、銘柄が段階的に低減される。さらに2028年10月からは1年ごとに定期入れ替えが発生する。
このように「浮動株時価総額上位96%」というリバランスの基準があることで、今後はTOPIXに安住することができなくなる。具体的に言うと、TOPIXの浮動株時価総額上位96%の銘柄数は、およそ1000となる。現在のTOPIXが約2100銘柄なので、約半分のイメージだ。
今後、既存のTOPIX構成銘柄は、見直しによって除外されるとTOPIXをベンチマークとするパッシブ運用の機関投資家から大量の売りが出るため、株価は下落する可能性が高い。構成銘柄から外れると、TOPIXをベンチマークとするアクティブファンドも保有しなくなる可能性があるためだ。
逆に今までTOPIXに採用されていなかった非構成銘柄は、追加されるとパッシブファンドから大量の買いが入るため、株価の上昇が期待できる。加えて、アクティブファンドの投資対象銘柄となり、さらに流動性も向上する可能性も出てくるのだ。
そのため、繰り返しになるが、除外されそうな既存のボーダーラインすれすれの構成銘柄と、追加されそうな非構成銘柄は、いずれも株価を上昇させるインセンティブが大きく働くことになる。スタンダードやグロース市場の銘柄でも時価総額が大きくなれば、TOPIXの銘柄として認めてもらえるからだ。浮動株時価総額上位96%(約1000銘柄)のTOPIX構成銘柄となるために、ボーダーライン前後の銘柄群の熾烈な競争が生まれるだろう。
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