豊臣秀吉が現代に甦って問題企業に喝を入れたら 豊臣秀吉が現代に甦って問題企業に喝を入れたら
「かかかか、裏切者が動いたの。これで仕舞いじゃ。将は窮地に至れば粛々と判断・決断せねばならぬ。それに家臣は常に我が身の目付を頼み、意見を賜り、我が身の善悪を聞き万事心につける。そういう家臣を持たず己を戒める心掛けすら無い故、こうして裏切られるのじゃ」
「正直に申し上げますと、マリーンシステムには5億どころか1千万の価値もないと思います。あくまでも決算対策ということで財務本部長から……無理に……」
「西村ァアアアアアアア 」
金田は白目を剥き、後ろにひっくり返った。
謎の声の主はいったい誰なのか
「やれやれ。これでお役目は果たせたか……」
すべてが終わり、広い会議室で倫太郎がぽつりとひとりつぶやいた。ずっしりとした疲労感が全身にのしかかる。
「あの者、差し詰め所領没収のうえ切腹といった処か」
黄金の着物で身を包み、色黒でしわくちゃな顔をした男。
小柄ではあるが纏うオーラは周囲を圧する。この貧困層から天下人に成り上がった英傑は、 目の前のソファにどっかと座っている。しかし、その姿は倫太郎にしか見えない。
「殿下。この時代に切腹はありません。会社を追い出されるくらいです」
倫太郎は恭しく答えた。こんな時代がかった言葉がなんの違和感もなく出てしまうほどの威厳が、この男にはある。
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