豊臣秀吉が現代に甦って問題企業に喝を入れたら 豊臣秀吉が現代に甦って問題企業に喝を入れたら

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「この金田産業で、クライアントであるわしに法を犯したなどという誹謗中傷をして、ただで済むと思っているのか!」

金田は大声でわめいた。たしかにクライアントの意向のもと利益をもたらすのがコンサルの仕事だ。とはいえ、この言われようは納得できない。

「この者、将の器にあらず。ただ 、怒りをぶつければ人は従うと思っておる。かの柴田勝家もそうであった。猛将などと呼ばれ浮かれる者、おのれの力のみを過信し滅びる。倫太郎、追い込んでやれ」

背中からの声が倫太郎を後押しする。胃の腑あたりをドンと殴られたような衝撃を感じ、嫌な汗がにじみ出た。

「誹謗中傷かどうかは、買収した会社の価値を冷静に見直してから判断すべきかと」

「必要ないッ、終わったことだ!」

金田は大柄な身体を揺すり、分厚い手のひらでテーブルを何度も叩いた。

「そんなのは監査法人がやることだ! お前の仕事じゃない」

「わかりました。では監査法人に問い合わせいたします」

「だ・か・ら! お前にそんなことをする資格はない! この会社はわしのものだ! お前のような若造に指図される覚えなどない!」

謎の声に導かれクライアントと真っ向対立

金田のあまりに横暴な態度に、倫太郎の中でなにかが弾けた。

「金田社長。そのお言葉はいかがなものかと。金田産業は大勢の株主が支える上場企業です。社長の所有物ではありません。違いますか」

「貴様……」

「倫太郎、そやつとだけ話しても埒があかぬ。周りをよく見よ。城を落とすは敵の結束の乱れを突くが上策じゃ。この様子を見るに、家臣に必ずそやつを憎む者がおる。ほれ、隣の小男をよく見よ。唇の端がわずかに歪んでおる。己の主が責め立てられるさまを楽しんでおるじゃろう」

声に導かれ視線を金田の右隣に向けると、貧相な身体の男が、たしかに口元を緩め興味深そうに金田の顔を盗み見していた。副社長の水上だ。

「水上副社長は、どうお考えですか」

倫太郎の問いかけに水上は一瞬、驚いたような表情を浮かべたが、すぐに顔を引き締めた。

そして軽く息を吸うと、

「もちろん弊社の処理は適法と考えますが、問題があったとすれば……」

噛み締めるようにゆっくりと返答した。さらに言葉を続ける。

「当然、経営責任が……」

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