豊臣秀吉が現代に甦って問題企業に喝を入れたら 豊臣秀吉が現代に甦って問題企業に喝を入れたら
「西村さんは財務部長として、この取引のおかしさに気づいていたんじゃないですか。上場会社は公器です。ここでごまかすのは犯罪の片棒を担ぐのと同じ。あなたは会社だけでなく自分の身も守るべきだ」
「自分の身……」
西村は腕組みをした。
「西村ッ!」
金田のこめかみに、みるみる血管が浮かび上がっていく。
倫太郎の背後から聞こえる声は、冷徹であった。
「会社のトップは、なにか誤りがあれば責任を負って組織を救う役目があります。そして組織あればこそのトップです。組織、従業員を守らず、己だけを守ろうとする者が留まってはなりません」
「貴様ァ!」
金田は倫太郎の胸ぐらを掴んだ。
役員会で生じてしまった造反劇
「金田社長!」
副社長の水上が突然立ち上がった。その語気の鋭さに金田は一瞬怯んだが、みるみる顔を朱に染め上げ、水上を睨みつけた。
「なんだ! 水上!」
「武田さんのおっしゃる通りです。マリーンシステム買収の件は前々からおかしいと思っていました」
「貴様……誰に向かって……」
「我々には株主に対する責任があります! 問題があれば正す。それが取締役の務めです」
「偉そうに……」
「西村くん! 君の見解を正直に言いたまえ。責任は問わない」
水上は諭すような口調で西村に言った。
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