ポスト3.11のマーケティング 企業は、消費者は、どう変わるか? デジタル コンサルティング パートナーズ 著 ~必要な改革を包括的かつ具体的に論じる

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ポスト3.11のマーケティング 企業は、消費者は、どう変わるか? デジタル コンサルティング パートナーズ 著 ~必要な改革を包括的かつ具体的に論じる

評者 津田倫男 フレイムワークマネジメント代表取締役

デジタル時代のマーケティングのプロが「震災後の日本にマーケティングが果たすことのできる役割とは何か」を考察する提言集である。「従来の需要喚起型のマーケティングがそのまま通用する環境ではなくなる」「消費者のマインドが、(何をしても)踊らされていると感じやすい」と反省し、「節電による新たなライフスタイル、ワークスタイルが始まる」とまえがきにあるが、おのおのが選び取ったテーマで、大震災後のマーケティングのあり方について独自に論じている。

特に共感を覚えたのは、第6章に相当する「商品選択は『正しい』に向かう」である。商品やサービスが売れるマーケティングが最高のものとされていた従来の概念に対して、「自分の行動が複雑な因果の網の目を介して、思いもよらぬどこか、誰か、いつか、影響を与えてしまうことが不可避なのであれば、その影響がよい影響であってほしい」として、正しいマーケティングとはソーシャルマーケティング(企業の社会的責任を重視)にとどまるものではなく、直感的に「正しさ」を感じさせるものだと言う。売り上げの一部を寄付するなどの表面的な事象ではない「信じられる人々によって送り出されている」と消費者に確信させるものが、それだと主張する。そして、「現場で働く人々の矜持、思いを見せていく」ことが大切だと言う。

他の著者たちによる、購買「自粛」批判、ツイッター賛歌、観光への甚大なる影響への危惧、SNSなどのソーシャルメディア活用論、ネット上のデマ対策、マスメディア再評価なども面白いが、「世の中の多くの人たちが、今の自分の持ち場で、自分にできることをがんばるしかない」と、地に足のついた結論を導き出した、著者の一人の姿勢に安心した。

朝日新聞出版 1470円 362ページ

  

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