アップルのサポート、評価が「両極端」なワケ 愛好家が高い評点を付けるとは限らない

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この種のサポートで満足度を上げるには、「いかに症例を切り分けるか」「問題解決が難しい場合、いかにすみやかに上位の担当者へとエスカレーションするか」が重要だ。

ここの最適化がうまくいくと、全体負担が減り、トータルでの満足度が上がる傾向になる。サポートスタッフが皆ハイレベルであれば、こうした対応は容易に実現しうるのだが、世の中そうそう上手くはいかない。

ライトな人々だけを重視して大丈夫?

思うに、アップルが採っているような策は属人性が低く、日本メーカーが採っている策は属人性が高いのだ。本来は、「シンプルな判断にハイレベルなサポートスキル」の組み合わせが望ましいが、それが容易にはかなわない以上、とりあえず、「できる限り多くのサポート対象顧客を待たせない」方に振る……ということなのだろうと判断している。

全体最適型のサポートコストは、もう割に合わないのだろう。そろそろどこかで「受益者負担の原則」を導入しないと、より不公平感が強くなるし、サポートを受ける人も快適な体験をするのが難しくなる。

かといって、ライトな人々だけを重視し続けると、トラブルを抱えた「本当に深刻な人」を満足させられなくなる。特に今後は、SIMフリースマホやMVNOなどで、コストに応じたサポートが必須のものとなる。

どうにも隔靴掻痒で、きれいにまとまる答えはない。だが少なくとも、「シンプルにできるところはシンプルに答える」というあり方は、もっと日本の企業にもひろがって欲しい、と筆者は考えている。

 
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西田 宗千佳 フリージャーナリスト

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にしだ むねちか / Munechika Nishida

得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、『アエラ』『週刊朝日』『週刊現代』『週刊東洋経済』『プレジデント』朝日新聞デジタル、AV WatchASCIIi.jpなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。著書に『ソニーとアップル』(朝日新聞出版)、『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社)、『スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場』(アスキー新書)、『形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組 』『電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ』『iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』(すべてエンターブレイン)、『リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ』(TAC出版)、『知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?』(共著、徳間書店)、『災害時 ケータイ&ネット活用BOOK 「つながらない!」とき、どうするか?』(共著、朝日新聞出版)などがある。

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