NHK「赤字でも黒字でも非難殺到」が意味すること 「儲けすぎ」から一転「どうして赤字なのか」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

NHKは2023年10月、受信料を1割値下げし、たとえば衛星契約は月2170円から1950円になった。あわせて学生免除の対象者を拡大させた結果、大幅な減収につながったと報じられている。

NHKの業績推移(単体)
売上高を意味する事業収入は漸減の傾向。利益を意味する事業収入差金は200~400億円程度で推移してきたが、このたび赤字になった(編集部作成)
NHKの貸借対照表
なお、貸借対照表を見ると約5400億円ほど現金預金・有価証券があり、経営は盤石である(出所:NHK公式サイト)

ただ、値下げから半年で5.9%減となれば、年間で見ると、受信料の値下げ幅である1割を超えることになる。なお、予算の段階では280億円の赤字を見込んでいたが、これでも赤字額は136億円に抑えられている。

今回の赤字決算を受けて、SNS上ではNHKをたたくような投稿が相次いでいる。多くは「どうして赤字になるのか」「もっと経費を削減できないのか」というもので、職員の給与を減らすことで、赤字を埋めるよう求める声も相次いだ。

そんなNHKだが、SNS上では「黒字でもたたかれる組織」でもある。黒字決算だった2022年度以前の投稿を見てみると、「民間企業でないのに利益を上げるのはおかしい」「黒字なのであれば、そのぶん受信料の値下げに充てるべきでは」との指摘があった。赤でも黒でも、なにかとバッシングの的にされやすい存在なのだ。

嫌われる理由は「NHK」と「テレビ全体」の2因

ではなぜ、NHKは嫌われるのだろうか。ネットメディア編集者として10年以上、ネットを見てきた筆者としては、大きく分けて「NHKそのもの」と「テレビ全体」の2方向に問題があると思われる。まずはNHKそのものの「たたかれやすい背景」を考えてみよう。

SNSを眺めていて、一番伝わってくるのが、「殿様商売への反発」だ。テレビ受像機があれば、その家からは受信料を徴収できる。それを根拠にして、ことあるごとに受信料を払うよう求めてきて、困惑したといったエピソードは、ネット上でも多々見られる。

後にも説明するが、「一家に一台はテレビを置いている」という前提が崩れた現代では、果たして自分の生活に必要なのかと、立ち止まって考える人も多い。解約か継続か、つまり「ゼロ円か、2000円か」の2択で悩む人々は、そもそも1割値下げした程度で「安くなった感」を得られない。

次ページNHKがここまで嫌われている理由とは…?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
作家・角田光代と考える、激動の時代に「物語」が果たす役割
作家・角田光代と考える、激動の時代に「物語」が果たす役割
作家・角田光代と考える、『源氏物語』が現代人に語りかけるもの
作家・角田光代と考える、『源氏物語』が現代人に語りかけるもの
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT