息を吹き返す東京電力、電気料金値上げも浮上、貧乏くじを引く原発事故被害者と利用者

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 個別企業としての財務の回復もまるで見えない。まず、電力供給の要となる原発の再稼働見通しが立たない。

現在保有する原発17基中、稼働しているのは柏崎刈羽の2基のみ。定期点検中の原発について政府は今後、ストレステスト(耐性検査)を実施するが、再稼働には原子力安全・保安院や首相など3閣僚だけでなく、地元の了承も必要で早期の稼働再開は容易ではない。このままいけば、来年4月までにはすべての原発が止まる。

原発の稼働減を埋め合わせるには、火力発電などの稼働を増やすしかないが、原油高が続く中で今期は前期比1兆円近くの燃料費増が見込まれる。加えて今後、交付金の返済のために、特別負担金だけでなく、原発を持つすべての電力会社が対象となる「一般負担金」も支払うことになる。それぞれの額は機構が決めることになるが、総額は少なくとも数千億円規模になるとみられる。

貧乏くじを引いたのは被害者と東電利用者

事故原発の廃炉関連費用も不確かだ。東電は前期中に約6400億円を関連費用として引き当てており、今後これ以上大きく膨れ上がることはないと見ている。しかし、事故はまだ収束しておらず、汚染水の漏出を防ぐ遮水壁のように、今後も想定外の費用が出てきても驚きはない。こうした費用は特別損失として計上され、最終損益の悪化につながる。


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