息の詰まる職場・職場の閉塞感はどこからやってくるのか?(第4回)--ポスト団塊世代の閉塞感

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あと数年で退職するのだから・・・

A社の人事部は今、中高年層の問題をどのように考えているのか。人事部の加藤部長(仮名)に話を聞いてみた。

「5年ほど前に、役職定年制度の導入を検討していたことがあります。当社では90年代後半にいわゆる組織のフラット化を実施し、管理職のポストを相当減らしました。ところが、今度は管理職への登用機会が減って、若手に閉塞感が漂い始めました。そのため、一定の年齢でポストを降りてもらう役職定年の検討を始めたわけです」。

「検討にはかなりの時間をかけました。将来の人員構成のシミュレーションも前提条件を変えていろいろと試してみましたが、予想に反して5年後以降はポストに余裕が出てくることがわかりました。むしろ、人材不足の方が問題だということが明らかになってきたのです」

「組織のフラット化で、部長ポストは“狭き門”となり、責任も重くなっています。一方で、課長は実務担当の延長にすぎないプレイングマネジャーが多く、将来の幹部候補がほとんど育っていないことが当時から指摘されていました」

「このような状況で、役職定年制度を導入すると、余人をもって替え難い優秀な部長を年齢で一律にポストオフせざるをえなくなります。それでは困る、ということでいつのまにか検討は立ち消えになりました」
 「若手の閉塞感を打破するために、課長にとどまり続ける50代のローパフォーマーをどうにかしたいという思いはあります。ですが、当社では50代の社員はほとんど残っていません。それに、あえてこのタイミングで厳しい施策を採らなくても、あと数年で退職するのだからそれまで待てばよいという意見が大勢です」

会社にしがみつこうとする山岡と、そんなシニア社員の定年を待ち望む人事部の思惑。若手社員に広がる閉塞感の背後には、そんな構造が見え隠れする。

次回(最終回)は、20代の若手社員にフォーカスを当てながら、これからの日本企業が直面するであろう組織課題について展望してみたい。

桐ヶ谷 優 クレイア・コンサルティング株式会社 ディレクター
 慶應義塾大学文学部卒。大手人材ビジネス企業および外資系IT企業の人事部門を経て現職。M&Aに伴う人事制度統合、ベンチャー企業の人事制度設計・導入支援等を手がける。また、中間管理職や若手社員を対象とした研修講師の経験も豊富に持つ。

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