原発事故が子どもに強いる厳しい生活、郡山市で「安心して遊べる場」が大盛況
「校庭での活動はいっさいなく、公園には近寄らないようにさせている。それでも小学校1年生の長女は文句も言わずに我慢している。1歳8カ月の長男は、しょっちゅう『お散歩』『お散歩』と外に出たいそぶりを見せる。何もしてあげられないのが歯がゆい」。福島県郡山市に住む女性(39)が話す。
保護者同士で顔を合わせるたびに「子どもの体調は大丈夫?」「体力は落ちていない?」といった会話になるという。
「少しでも安心して遊ばせたい」との思いから、今年の夏休みは2人の子どもを連れて大阪府の実家で過ごした。その間、夫(42)は、郡山の自宅で単身生活。「夏休みに家族で一緒に過ごすことができなかったのが寂しかった」と夫は話す。
福島第一原子力発電所の爆発事故をきっかけに、福島県内では子どもの屋外活動に深刻な制約が出ている。比較的高い値の放射線量が計測された郡山市は、保育園での屋外活動について、低年齢児(0~2歳児)で1日15分以内、3歳以上で30分以内に制限している。
■放射線を避けるため、子どもは屋内で一日を過ごす(郡山市立大成保育所)
だが、外で遊ばせることに対する保護者の懸念が強く、多くの保育園では屋外活動自体を見合わせている。
郡山市の南西部に位置する市立大成保育所でも、原発事故以来、屋外活動を実施していない。原発事故以前であれば、近所の神社の境内で外遊びをしたが、今年は神社に近づくこともない。