原発事故が子どもに強いる厳しい生活、郡山市で「安心して遊べる場」が大盛況

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 「震災による子どもの心的外傷後ストレス障害(PTSD)を懸念した」という菊池氏は、震災から1カ月経たない4月初めに「郡山市震災後子どもの心のケアプロジェクト」を、医療関係者や郡山市などとともに発足させた。

「外で遊ぶことができないのであれば、せめて屋内で思い切り遊ぶ場を作ってあげたい」との問題意識から、郡山市やボランティア団体、教育・育児玩具の輸入などを手掛ける企業の協力を得て「夏のキッズフェスタ」を8月26~28日の3日にわたって市の施設を借りて開催。手作りの工作や絵本の読み聞かせ、親子で遊べる室内遊びなどの催しは、延べ3483人もの親子でにぎわった。

2人の小学生の子どもを連れて参加した本宮市の女性(35)は、「あんなに走り回っている子どもの姿は最近見たことがなかった」と顔をほころばせる。「子どもは今まで思い切り体を動かす機会がなく、家の中で鬱々としていた。それだけに、こうしたイベントはとても有意義だった」(同)。

教育・育児玩具で室内の遊び場を設営したボーネルンド社の村上裕子広報室長によれば、「びっくりするほど多くの親子が来場した。来場者からは『汗を流したのは震災後初めて』といった声が寄せられた。福島県内ではこうした取り組みがぜひとも必要だと強く感じた」。

キッズフェスタは予想外の盛況だったが、菊池氏は「居場所づくりは問題提起としての意味を持つ」と説明する。「このようなイベントを開催しなければならない福島の子どもの現状を全国に知ってもらいたい」(菊池氏)。キッズフェスタは「外に出てはいけませんというだけで何のフォローもない現状への警鐘」(菊池氏)でもあるという。
 
 そして「次の段階」として菊池氏は、「子どもが安心して遊べる常設の遊び場作りを国や自治体に働きかけていきたい」と力を込める。



■「夏のキッズフェスタ」は8月26日から28日の3日間にかけて、郡山市内の公共施設内で開催された


■キッズフェスタには、3日間で延べ3400人以上の親子が訪れた


■公共施設の2階に設けられた室内の遊び場では、子どもたちが思う存分走り回った

(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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