将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態 人口少ない国で鉄道はどんな役割をはたすか
ウエリントンでは近郊路線乗り放題の1日券(27ニュージーランドドル)を利用、電車路線だけでなく、前述のマスタートンへの客車列車にも乗れるので、都市内だけでなく汽車旅も楽しめる。
では、オークランドはというと1日券がない。1日券がないだけではなく、観光客が使えそうな割引運賃が何もない。
しかし、それには納得の理由がある。オークランドの都市内交通は「ホップカード」というIC交通カードで利用、距離に応じて運賃が引き落とされるのだが、1日に引き落とされる上限が20ニュージーランドドル(約1818円)なので、1日券が20ニュージーランドドルだと思えばいいのである。
つまり「1日券で元が取れるかな?」、「こんなに乗るなら1日券を買っておけばよかった」などということがない。きわめて安心で親切なシステムである。しかも、近郊鉄道、路線バス、そして定期船すべてが同じ組織の運営なので、観光バスや空港バスにでも乗らない限り、1日の交通費は約1800円を超えることがないという優れたシステムである。これなら1日券の必要はない。
ICカードのお得感が最も希薄なのは日本
筆者は日中に鉄道、バス、定期船に乗った日、午後の遅い時間に空港バスを利用せず、鉄道+路線バスの方法で空港を往復したが、空港の往復時はカードをかざしても「0」と表示されるだけで、市内から空港の往復がほぼ無料であった。
物価の高い国だけに、初乗りは日本より高額に感じるが、1日に何度も乗り降りするならずいぶんお得なシステムと感じた。実はこのようなシステムを導入する都市は多く、ヨーロッパでも実施されている。逆にいえば、紙の切符などからICカードに移行する際、ICカードのお得感がもっとも希薄なのが日本で、各国ともICカード普及によるメンテナンスの負担軽減を利用者に還元、もしくは紙の1日券などを廃止して合理化を果たしている。
バスを利用して感じたこともある。人口が少ないのに利用者が多いこと、そして短区間の利用者も多いことである。ICカードに1日の上限があるだけでなく、バス同士、鉄道とバスの乗り継ぎの場合、乗り継いだバスなどが無料、もしくは大幅に割引になるので、気軽に利用できるのである。
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