日本では路線バスが利用低迷、運転手不足、減便や廃止と悪循環に陥っているが、乗り継ぐたびに初乗り運賃を払う日本のシステムもその一因だと感じる。日本の交通機関は優れたシステムであるがために、海外を手本とする姿勢が見られなくなったと感じる。
筆者が少年時代の鉄道は「海外では禁煙車が当たり前」、「空港アクセスに鉄道が活躍する」と、海外の事例を手本にして発展してきた部分も多かった。近年は「何でも日本が1番」とする傾向があるが、海外の事例をもっと参考にする姿勢も必要であると思う。
旅情豊かな北島と南島を結ぶフェリー
ニュージーランドへ行ったら体験したいものに北島のウエリントンと南島のピクトンを結ぶフェリーがある。インターアイランダーとブルー・ブリッジの2社が、合計で5隻のフェリーで運航、曜日によって1日5~10往復ある。所要時間は3時間30分ほどである。
鉄道の本数が激減し、接続も図られていないが、北島の南の鉄道の終点と南島の鉄道の起点を結んでいるので、かつての青函連絡船を彷彿とさせる。所要時間もほぼ同じ、航路の半分以上は湾内の静かな海を行くが、外海とつながる海峡部分は波があるという部分も酷似していた。
現在は鉄道の本数が減り、鉄道連絡船というよりカーフェリーの役割がほとんどである。さらに2社のフェリー乗り場の場所が、1社はウエリントンで、1社はピクトンで駅から離れた場所にあるため、どちらに乗ってもどちらかで送迎バスに乗らねばならないという不便もある。
しかし、鉄道と鉄道をフェリーでつなぐという、日本ではほぼほぼ味わえなくなった旅が、ニュージーランドでは可能なことも確かで、スローな旅を味わいたい向きにはおすすめである。
ニュージーランドの鉄道旅
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ホームだけのオークランド駅を出発のウエリントン行き
(筆者撮影)
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コンテナ改造のオークランド駅は列車発着時だけオープン
(筆者撮影)
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窓が大きく、車窓の眺めは良好、しかし、座席の半分は
後ろ向き(筆者撮影)
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カフェカーを連結、この車両はフリースペースで売店がある
(筆者撮影)
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12月、カフェカーにはクリスマスツリーが飾られていた
(筆者撮影)
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始発から終着まで観光客に大人気だった展望車
(筆者撮影)
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途中、国立公園を通過し、ループ線での山越えもある
(筆者撮影)
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展望車からは雪山や美しい草原が堪能できる
(筆者撮影)
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ウエリントン近郊では南太平洋沿いを。ちょうど夕暮れ
の景色に(筆者撮影)
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ウエリントンへ到着した「ノーザン・エクスプローラー」
(筆者撮影)
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クライストチャーチーピクトン間「コースタル・パシフィッ
ク」は冬期運休(筆者撮影)
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立派なかつてのオークランド駅の駅舎は保存されている
(筆者撮影)
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3両か2組連結で6両編成のスペイン製オークランド近郊鉄
道(筆者撮影)
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起点のブリトニー駅は、中心部がループ状になると中間駅に
なる(筆者撮影)
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オークランドのダブルデッカー路線バスは眺めを楽しむのに
最適(筆者撮影)
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オークランドブリッジをくぐる定期船は観光でも楽しめる
(筆者撮影)
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上限額を越えるといくら乗ってもタダになる「ホップカー
ド」(筆者撮影)
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オークランドーハミルトン間は機関車が引いたり推したり
(筆者撮影)
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オークランドの保存トラムには元メルボルン市電が活躍
(筆者撮影)
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太平洋沿いを行くウエリントンの近郊鉄道は韓国製車両
(筆者撮影)
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ウエリントンの近郊鉄道、通勤時間帯でもゆったり座れる
(筆者撮影)
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距離が長い近郊列車「ワイララパ・コネクション」は機関車
牽引(筆者撮影)
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遠距離通勤の「キャピタル・コネクション」は運転室付き客
車(筆者撮影)
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入換用ディーゼル機関車はリモート・コントロールの無人運
転(筆者撮影)
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北島北部のベイ・オブ・アイランド・ビンテージ鉄道は保存
鉄道(筆者撮影)
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ベイ・オブ・アイランド・ビンテージ鉄道も展望車両連結
(筆者撮影)
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北島と南島を結ぶインターアイランダーのフェリー
(筆者撮影)
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北島と南島を結ぶもう1社のフェリーはブルー・ブリッジ
(筆者撮影)
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北島と南島を結ぶフェリーが海峡部分の波のある部分を行く
(筆者撮影)
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南島から北島へ。緯度が高く夏の太陽はなかなか沈まなかっ
た(筆者撮影)
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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa
1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。
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