将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態 人口少ない国で鉄道はどんな役割をはたすか

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起点となるオークランド駅も、以前は立派な駅舎だったものの、現在のオークランド・ストランド駅はコンテナを改造したようなごくごく簡素なものと1面のホームだけで、普段は閉まっていて、列車が発着する間だけオープンする。車両基地から回送されてきた列車の乗務員が駅を開け、列車出発の際に駅を閉めて出発する。

この駅は規模が小さいため少しわかりにくい場所にあるのだが、近隣で通行人に駅の場所を聞いても知らなかった。親切な彼から帰ってきた答えは「住所わかるか?」であった。つまり「住所がわかれば調べますけど」というのだ。それほどに長距離列車が地域住民にはなじみのないものになっていた。

駅に到着すると、イギリスから来たという鉄道ファンが「これがニュージーランド最大都市の駅だ。立派な駅だ」と、ブリティッシュ・ジョークで皮肉たっぷりに話しかけてきたくらいである。

車窓の美しさは抜群

しかし、週3便の列車はご機嫌なものであった。カナダ製ディーゼル電気機関車牽引、景色を楽しめるよう大きな窓の客車、カフェカーと展望車を連結、展望車は最後尾ということではなく、日本的にいえばトロッコ列車のようなオープン・エアの車両を連結している。列車名は「ノーザン・エクスプローラー」だ。

オークランド―ウエリントン間の所要時間は約11時間、その間に大きな都市はほとんどなく、客の乗降もわずかで、多くの客がオークランドからウエリントンまでの景色を楽しもうという海外からの観光客であった。

車窓には雄大な景色が展開し、国立公園を通過、ループ線を伴っての山越えもある。草原をかける羊の群、渓谷、雪山、そして最後には南太平洋が展開する。ネットで予約、料金はクレジットカード利用料を含めて243.78ニュージーランドドル、カード支払い額2万2965円であった。

ちなみに、この区間を移動するだけならジェットスター航空などのLCCが多く飛んでいて、6000円台から飛ぶことができる。筆者もウエリントンからオークランドへは迷わず空路で戻ったのである。

ニュージーランドの長距離列車は万事がこのような感じで、最も人気の高い南島を横断するクライストチャーチ―グレイマウス間「トランス・アルパイン」でも冬季は週4便、クライストチャーチ―ピクトン間「コースタル・パシフィック」に至っては冬季運休となる。これらの列車もすべて展望車連結の観光列車である(冬季とは日本の夏季)。

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