将来の北海道?「ニュージーランド」鉄道の実態 人口少ない国で鉄道はどんな役割をはたすか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

オークランド―ウエリントン間を列車移動、ウエリントンからフェリーで南島のピクトンへ、「コースタル・パシフィック」を利用すればクライストチャーチまでを列車、フェリー、列車と乗り継ぐ旅が可能なのであるが、季節によってはそれができなくなっている。

筆者はかつて、南島最南のインバーカーギルまでを列車でたどったことがあり、最果て旅情に満ちていたのだが、現在のニュージーランドの長距離列車は、移動手段ではなく、観光客用のアトラクションとして残っている程度になった。

しかし、ニュージーランドだけでなく、将来、北海道などもこれに近い状況になるのではとも考えてしまうのである。

大都市近郊鉄道は便利で快適

長距離列車が観光列車のみになったニュージーランドの鉄道だが、大都市近郊の鉄道は新たに建設、延伸工事も行われている。最大都市オークランドにはスペイン製電車による4系統の近郊路線がある。オークランドからニュージーランド第4の都市ハミルトンまでの136キロには「テ・フィア」という都市間列車が、ディーゼル電気機関車が客車を引いたり押したりするスタイルで運行している。

首都ウエリントンには韓国製電車による4系統の近郊路線があるほか、距離が長めのマスタートンへはディーゼル電気機関車牽引の「ワイララパ・コネクション」も運行している。ウエリントン―パーマストンノース間140kmには、ディーゼル電気機関車牽引の「キャピタル・コネクション」もあり、朝の上りと夕方の下りのみ運行、遠距離通勤に特化した列車である。

2都市ともおもな需要は通勤と生活の路線であるが、オークランドでは鉄道+路線バスで空港アクセスの機能も果たしているので、外国人利用者も多い。起点となるのはオークランド中心街にあるブリマートという地下の終点駅であるが、現在はオークランド中心街の地下を通ってループ状にする延伸工事中で、完成するとブリマート駅は中間駅になる。

両都市とも近郊鉄道とはいえクロスシート中心の車両で、通勤といってもゆったりした座席、日本のような混雑は皆無であった。

ウエリントンの近郊路線は山間部や太平洋沿いの区間も多く、ニュージーランドらしい車窓を気軽に楽しめる。起点になるウエリントン駅は立派な構えの終点駅で、長距離列車、バス路線などが集まる、いわゆるターミナル駅である。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事