「椿山荘」の含み益が狙い?藤田観光の株価急騰 DOWAが保有する31%超の株の行き先に熱い視線

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ホテルで最も採算性の高い部門は宿泊部門だ。人件費や材料費のかかる宴会や婚礼、レストランの収益性は低い。椿山荘は宴会や婚礼、レストランが売り上げの大半を占める。椿山荘を売却し経営資源をビジネスホテル部門に集約すれば、利益を上げることができるとの指摘は成り立つ。

その指摘の前提としてあるのが、椿山荘の抱える莫大な含み益だろう。東京ドームがすっぽり入る4万9000平方メートルもの椿山荘の土地は、藤田観光が所有している。バランスシートに計上されている価格はわずか4900万円。取得時の価格であるため、実態とは乖離がある。

国土交通省が毎年発表している地価公示価格によれば、周辺の地価は1平方メートル当たり100万円程度だ。この数字を基にすると、椿山荘の価値は土地だけで約500億円になるとみられる。

よほどのことがなければ「死守」

業界を見渡せば、規模拡大を狙った再編が始まっている。

中堅ホテルチェーンのポラリス・ホールディングス親会社で独立系の投資運用グループであるスターアジアグループが、国内ホテル運営会社のミナシアを買収した。業界中堅のグリーンズやフランスの世界大手アコーなどによる大型の運営受託も増えている。

DOWAと藤田観光にとって椿山荘は、藤田家のゆかりがある由緒ある資産だ。藤田観光の伊勢宜弘・前社長(現会長)は2021年の東洋経済のインタビューに、「よほど会社がおかしくならない限り、椿山荘は死守してやっていきたい」と語っていた。

3Dの登場を機に、DOWAが藤田観光の経営方針を尊重してくれるホワイトナイトを探す展開も考えられる。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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