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北朝鮮の「兵器工場化」を目論むプーチン大統領 ウクライナ支援を拡大する西側に最終核戦争の恫喝

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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さらにこの危機感を示す別の発言があった。プーチン氏は会見で、北朝鮮との「軍事・技術協力」の可能性も「排除しない」との考えを口頭で明らかにしたが、西側からのウクライナへの軍事支援拡大に「絡んで」と付け加えたのだ。

有事の際の相互軍事支援規定だけでなく、北朝鮮との「軍事・技術協力」についても、当面、ウクライナ情勢に絡んだ協力を優先するとの考えを強調したものだろう。

つまり、ロシアによる北朝鮮の核開発への技術支援など、国際社会が懸念する軍事技術支援の大幅拡大は当面、本腰を入れて行う考えがないことを示唆したものだ。

一方で、今回の条約締結で北朝鮮は、プーチン・ロシアを自国の安全保障の強力な後ろ盾にしたい思惑があるのは明らかだ。

この食い違いは「同盟」をめぐる両首脳の発言に端的に表れた。金正恩氏は今回の条約によりロ朝関係が「同盟に引き上げられた」と表明したが、本稿執筆段階ではプーチン氏は「同盟」という表現を使っていない。

ロ朝で食い違う「同盟」への認識

なぜ「同盟」をめぐる発言で両首脳間に温度差があるのか。その根本には、朝鮮半島情勢の現状に関する認識の差がある。

核開発を進める北朝鮮に対し、近い将来アメリカが何らかの軍事的強硬策を仕掛ける可能性はなく、現時点で相互防衛の義務を負う「同盟」関係の樹立を急ぐ必要はないとロシアはみているのだろう。

侵攻から2年以上が経過したウクライナ戦争に掛かり切りのプーチン政権にとって、今、北朝鮮との完全な同盟化を急ぐ余裕などないのだ。

それでは、プーチン氏が今回の新条約調印で具体的には何を目指しているのか。それはロシアに砲弾などの兵器を大量に供給する北朝鮮の「兵器工場化」だろう。

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