いかがでしょうか? この漫画に書いてあるとおり、東大生は数学の問題を解くときには、短い文章量の問題より、長い文章量の問題から先に手を付けます。
では、この漫画で書いてあることは本当なのか、みなさんにも知ってもらうために、実際に出題された東大入試の文章を読んでいただきます。
この問題は、その年の数学の問題の中でいちばん長かった問題です。
正八角形の頂点を反時計回りにA,B,C,D,E,F,G,Hとする。また、投げたとき表裏の出る確率がそれぞれ1/2のコインがある。点Pが最初に点Aにある。次の操作を10回繰り返す。
操作:コインを投げ、表が出れば点Pを反時計回りに隣接する頂点に移動させ、裏が出れば点Pを時計回りに隣接する頂点に移動させる。
例えば、点Pが点Hにある状態で、投げたコインの表が出れば点Aに移動させ、裏が出れば点Gに移動させる。
以下の事象を考える。
事象S:操作を10回行った後に点Pが点Aにある。
事象T:1回目から10回目の操作によって、点Pは少なくとも1回、点Fに移動する。
(1)事象Sが起こる確率を求めよ。
2019年東大文系数学 第3問
(1)
超長い問題文どうやって解く?
なんだかいろんなことが書いてあって、難しそうですよね。でもこの問題、よく考えて図を書いてみると、こうなります。
点Pが、正八角系の頂点を移動していく、というだけの話なのです。こうやって理解すれば瞬時に理解できる話であり、(1)も東大の入試とは思えないほど簡単なのですが、問題を見て「難しそう」と考えてしまうと、解けなくなってしまいます。
もっと言えば、この問題文が長くなっている要因は「例えば、点Pが点Hにある状態で、投げたコインの表が出れば点Aに移動させ、裏が出れば点Gに移動させる。」といったように説明が加わっているからですよね。
問題文が長いのは、多くのヒントが入っているからだ、ということについて納得できましたか?
多くの受験生は、長い分量の問題を見てうんざりしてしまいがちです。長い文を読むのは疲れるし、時間もかかる。しかし、それは先入観からそういう気持ちになってしまっているだけの場合もあります。「長い」=「難しい」と考えず、ぜひ「長い」=「簡単」と考えてもらえればと思います。
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にしおか いっせい / Issei Nishioka
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。
そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。
著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。
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