「先延ばし癖のある部下」がみるみる変わる手法 人の癖を理解して、行動変容を促すナッジ

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これにより、勤務交代後に残っていると緑の中に赤が存在し、規範から外れて残業している人が一目でわかるように。結果、交代時でも業務依頼が明確になり、新人は帰りやすくなった。医師も患者の体調確認や処置の指示を誰にしたらよいか迷わなくなったそうだ。当然、残業は激減し、離職率も低下するという成果につながった。

行動特性Commitments:仕事を先延ばししていない?

Commitomentsとは約束や確約を意味し、先延ばししないよう将来の制約を現段階で設けておくことを示す。人は公の場で約束したことなどは整合性を保とうとするため、約束を実行する傾向にある。この特性を利用すれば、現在バイアスからくる先延ばし行動を防ぐことができる。

現在バイアスは遠い未来に得られる得よりも、現在の利益に大きな価値を見出す特徴を持つ。人は計画をするものの、いざとなると直近の喜びや楽しみを優先するため、計画を先延ばししてしまうのだ。喫煙やダイエット、資格試験の勉強などでもありがちである。

先延ばしを防ぐ仕組みをコミットメントデバイスと呼ぶ。先延ばしを防ぐためには、将来の行動にあらかじめ制約をかけよう。例えばTOEICの勉強をしなければいけないのに、SNSを見てしまい勉強がはかどらないとしよう。その場合はSNSのアプリを即削除し、誘惑を排除するのだ。

有効な締め切りの設け方

それでは、提出期限に遅れがちなメンバーにはどう対処したらよいのか? 有効なコミットメントデバイスを紹介しよう。

あなたはあるメンバーに3社の企画書作成を依頼し、3週間以内に提出を求める。期限が守られるパターンはAからCのどれだろうか?

【A】1週間ごとに1社提出
【B】締め切りを自分で設定させる
【C】3週目に3社分を提出

答えはA。Ariely and Wertenbroch(2002)の実験によると、細かな締め切りを複数回設定するAは先延ばしバイアスを防ぎ、約束を守ることが示された。従って、期限を守らないメンバーには、細切れに締め切りを設るほうが遅延を防げるようだ。

リーダーのためのコミュニケーションマネジメント: トップリーダーとメソッドから学ぶ部下育成の奥義
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MAINDSPACEはメンバーの適切な行動変容を導く参考となり、効率的に業務を進めるために効果を発揮する。コントロール不能になる前に、行動変容マネジメントに着手することをおススメする。

杉本 ゆかり 跡見学園女子大学・群馬大学大学院兼任講師

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すぎもとゆかり / Yukari Sugimoto

跡見学園女子大学・群馬大学大学院兼任講師、中央大学大学院ASI研究会主席研究員。中央大学大学院戦略経営研究科修士課程(MBA)を首席で修了、同大学院同研究科博士課程にて博士取得。2000件を超える企業研修や講演会でマネジメントや人材育成の課題解決を支援。専門はマネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション、マーケティングなど。トステム(現リクシル)代表取締役付秘書の後、医療福祉専門学校の教務部長を経て学校長に就任、その後現職。主著は『患者インサイトを探る-継続受診行動を導く医療マーケティング』『リーダーのためのコミュニケーションマネジメント-トップリーダーとメソッドから学ぶ部下育成の奥義』

 

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