「中国系頭脳」が"米国に流出"生成AIの熾烈な争い 動画生成「Pika」は華人・華僑の女性達が起業

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「天才美少女が中国の高校からハーバード大に進学した」ともてはやす国営メディアを、「富二代(金持ちの子どもという意味)のアメリカ人がハーバードに進学したというだけの話だ」と冷笑し、「ハーバードへの道には経済的な壁もある。一般庶民には縁のない話だから夢を見るな」とくぎを刺しているのだ。

この記事が掲載された2010年代前半は、不動産やIT産業で財を成した経営者や共産党幹部の子どもが最初から恵まれた環境でスタートできることを指す「富二代」という言葉が広がり、格差の拡大や固定化が顕著になっていた。郭文景氏がアメリカ国籍であるとわざわざ言及している点にも、格差への反発が見て取れる。

中国のSNS上でのコメント

一方、最近のSNSのコメントは、エリートがアメリカを目指すことにそう否定的ではない。

オープンAIの開発チームに華僑華人が多く含まれていることには、「人材を育成するにも土壌が必要だ。この人たちはアメリカの企業で鍛えられたからこそ、今のレベルに到達したとも言える」「中国の教育制度の下にいたら、彼らも今のようにはなれなかっただろう」など、「誇らしい」「羨ましい」と感じていても、「けしからん」という意見は少ない。

むしろにじみ出るのは、現状への閉塞感や自国の教育体制への問題意識だ。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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