「中国系頭脳」が"米国に流出"生成AIの熾烈な争い 動画生成「Pika」は華人・華僑の女性達が起業
Pikaはアメリカだけでなく、中国でも高い関心を集めている。というのも、創業メンバー4人のうち3人が華人華僑だからだ。
共同創業者はCEOの郭文景氏とCTOの孟晨琳氏。孟晨琳氏についてはスタンフォード大学に入学し、修士、博士課程に進学したこと以外は詳細な情報がないが、郭文景氏は中国・杭州市の高校に通っていた頃から、国際情報オリンピックをはじめとした学術やプログラミングの国際大会で活躍し、「天才美少女」として国営メディアにも取り上げられる有名人だった。
高校卒業後はハーバード大学に進学し、修士課程を経てスタンフォード大学の博士課程に進学した。高校時代からマサチューセッツ工科大学(MIT)などアメリカの名門大学の研究者や起業家と交流を深め、創業や資金調達でもサポートを受けている。郭文景氏の生年月日は不明だが、昨秋の資金調達を報じる記事に26歳とあったので、現在は26、7歳のようだ。
3人目のメンバーは郭文景氏の高校の同級生で、北京大学に進学した陳思禹氏。同氏も秀才ぶりを国営メディアに紹介されたことがある。残りの1人はイスラエル人と報道されている。
Pikaは2023年11月末、今年6月と、計2回の資金調達を公表している。実は昨年11月末に5500万ドル(約86億円)を調達した際、杭州市に本社を置き、金融業界向けにソフトウェアを開発するサンヤード・テクノロジー(信雅達科技股分有限公司)の株価がストップ高になった。
同社の会長を郭文景氏の父親が務めており、Pikaと取引関係にある、あるいはPikaに出資しているとの噂が広まり、生成AI銘柄としてサンヤードの株価も急騰したのだ。慌てたサンヤードはすぐに、Pikaとの資本関係や取引を否定するコメントを発表した。
米中対立は生成AIの開発競争でも
生成AIをめぐる開発競争はアメリカ企業がリードし、中国が必死に追い上げている。
2022年11月にオープンAIがChatGPTをリリースし、以前から同社に出資するマイクロソフトが自社サービスに搭載した。グーグルも続き、出遅れていたアップルも2024年6月10日、生成AI戦略を発表した。
一方中国ではバイドゥがやや先行しているものの、アリババ、テンセント、バイトダンスといったメガテックからAIスタートアップ、清華大学のような研究機関まで入り乱れてしのぎを削る。
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