「中国系頭脳」が"米国に流出"生成AIの熾烈な争い 動画生成「Pika」は華人・華僑の女性達が起業

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米中関係の悪化で半導体、電気自動車(EV)など多くの産業で分断が進み、生成AIでも米中はライバルに見える。だが、アメリカの生成AIスタートアップは多国籍のメンバーで構成され、中国系人材も多数働いている、というのも1つの現実なのだ。

同分野で独走するオープンAIも例外ではない。

同社のサム・アルトマンCEOは最新モデル「GPT-4o」を発表した2024年5月中旬、X(旧Twitter)で、開発リーダーのPrafulla Dhariwal氏を名指しし、「彼なしには同製品は世に出なかった」と謝意を示した。

インド生まれのDhariwal氏は同じ日、XでGPT-4o開発チームの主要メンバー16人を紹介した。中国のネット界隈ではXやビジネスSNSのリンクトインを通じてその日のうちに16人の素性の特定が進められ、うち6人が中国系であると推定している。

それぞれの国籍は不明なものの、うち4人は北京大、清華大、中国科学技術大、上海交通大と中国の大学を卒業しアメリカの大学院に進学、グーグルやアップルなどメガテックでの勤務を経てオープンAIに入社しているとされる。

ChatGPTにも中国系人材が関わる?

オープンAIは各製品の開発に関わった「貢献者」のリストを公開しているが、中国メディアなどによると「GPT-4o」の1つ前のバージョンである「GPT-4」にも約30人の華僑華人が含まれているという。

中国系の研究者や技術者がグローバル、つまりはアメリカで活躍していることについて、中国ではさまざまな受け止め方がされている。

北京有力メディアの新京報は、Pikaの郭文景氏がハーバード大に合格したことが話題になっていた2015年12月、「ハーバードに進学するあの女の子、一般人は決して同じことを望むな」という一風変わった記事を掲載している。

同記事などによると、郭文景氏の父は前述した通り上場企業の社長、母は名門・浙江大学を卒業後、MITの博士課程に進学している。アメリカで産まれた郭文景はアメリカ国籍だ。

記事は彼女が何度もアメリカを訪問したり、お金のかかるスポーツを楽しんでいることを紹介し、「郭文景氏がハーバード大に入学できたのは、恵まれた家庭環境」に大きく起因すると主張している。

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