シーメンスの日本代表として日本人が社長になるのは私が初めてなんです--織畠潤一 シーメンス・ジャパン代表取締役社長兼CEO(第3回)

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--タイコの在籍期間も6年。今年の1月からシーメンス・ジャパン(以下、シーメンス)社長として就任されました。初のヨーロッパの会社ですが、今までのアメリカ系企業と何か違いは感じましたか。

タイコでは4年間インターナショナルプレジデントも務めて成果も出しましたし、そうこうしているうちにシーメンスからヘッドハンター経由で声がかかったんです。シーメンスはヘルスケアに加え、エナジー、インダストリーという柱があります。電気工学をやっていたのでこれらの技術にも大いに興味がありますし、イノベーションを核とした成長戦略を描いているところにも興味を覚え転職を決めました。

シーメンスではペーター・レッシャー社長兼CEOが就任してから、ポートフォリオも積極的に組み替えて長期的な成長機会に繋げています。例えば、創業以来の事業であった通信事業を売却したり再生可能エネルギーを強化したり。経営にスピードもあるので、事業展開に関してはアメリカ企業と比べても違和感はありません。

人事制度は日本の多国籍企業に似ているところがあるのかもしれません。弊社では世界を17のクラスター(地域)にわけてクラスターCEOを置いているのですが、ほぼドイツ人が占めており、実はシーメンスの日本クラスターCEOとして日本人が社長になるのは私が初めてなんです。また、よくも悪くも技術や品質に重きを置き、いいものをしっかり作れば顧客もわかってくれる筈と考えがちなところも日本企業と似ているかもしれません。

シーメンスの技術・イノベーションの強みと、自分が今まで経験してきたアメリカ企業のマーケティングや人材育成の強みをうまく融合させることができればと思います。

(撮影:梅谷 秀司)

おばた・じゅんいち
 1963年3月23日、横浜生まれ。日本で小学校を卒業後、中学1年から2年間をイランの首都テヘランのアメリカンスクールで過ごした後、米国ジョージア州の公立高校を首席で卒業。マサチューセッツ工科大学(MIT)で電気工学学士号・修士号取得後、86年7月リクルート入社。リクルートでは情報ネットワークサービス事業部門にて新規サービス開発を担当し、FNX(ファクシミリ同報サービス)事業を立ち上げる。91年MITスローンスクールでMBA取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。ロサンゼルス・オフィス勤務に次いで、東京オフィスにて、主にエレクトロニクス、テレコム、ヘルスケア企業の戦略プロジェクトに携わる。99年、ゼネラル・エレクトリック社(GE)に入社し、GEメディカル・システムズ−アジアの事業開発本部長、CT事業本部長、サービス事業統括副社長、日本GEプラスチックス社長等を歴任。2005年コヴィディエン社(旧タイコヘルスケア)にタイコヘルスケアグループジャパン代表取締役社長として入社し、06年10月より日本、アジアパシフィック、東欧・中近東を統括するInternational President 兼 日本代表。11年1月より現職

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・経営者JP主催のセミナー「トークライブ・経営者の条件」との連動企画です。
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