--これまで多くの会社で働いてこられました。会社のカラーは全て違うと思いますが、経営のコツや共通点はありますか。
会社のカルチャーや事業が違っても、おさえるべき共通項はあります。「成長」、「人材の活性化」、「コンプライアンス」という3点を私は大切にしています。シーメンスに入ったときもまずこの3つは自己紹介とともに社員に伝えましたし、今後も繰り返し訴え続けていこうと思います。
また、どの企業でもグローバルでカルチャーやバリューが定義づけられていますが、それを自分の言葉で語りかけ、社内で共有させることもトップの重要な役割です。自社のバリューやカルチャーに基づいてベストな人材を採用し、彼らを伸ばすことも一体感を生み出す上で重要です。
ただし、人材は多様です。あくまでダイバーシティを前提に絆を求めるには、カルチャーとバリューが重要だということです。
もう1つ、なでしこジャパンを見ていても思いましたけど、スキルも大事ですが強い気持ちが重要ですよね。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、仕事を好きになって楽しもうということも常に言っています。
--部下のモチベーションを上げるにはどうしたらよいでしょうか。
例えばマッキンゼーのようなコンサルティング会社なら、やっていることの意義がわからない、クライアントに提言しても実現しない、実施するスピードが遅いなど、モチベーションがあがりにくい状況は往々にしてあります。事業会社も、会社の業績が上がらないとき、品質問題を抱えているとき、同じ問題を繰り返し起こすときなどは当然モチベーションが下がります。
特に外資系メーカーの宿命ともいえますが、高品質・高機能を求める日本市場を十分理解せず、例えば発展途上国向けと同じような品質のものを投入してクレームやリコールが生じてしまったときなどはモチベーションの維持が難しい。